[感想]月世界へ行く (創元SF文庫) - ジュール・ヴェルヌ



月世界へ行く (新装版) (創元SF文庫)
ジュール・ヴェルヌ
 訳:江口 清




ヴェルヌさんの本を幾つか買ってたんですが、これはなかなか読み進めるのが大変だった…

月についての知識、宇宙についての知識はやはり、いまとその頃じゃかなり変わっているので、当時の最先端の知識で夢いっぱいに書かれていても、今の私たちには違和感があるのですね。

とはいえ、これを読んだら月の地質について、すごく興味を持ちました。
今まではあんまり興味なかったのに。やっぱりすごいなヴェルヌさん!






この話には前編があるそうです。


このはなしは、アメリカ人が、大砲で月に行くぜ!っていう話です。
この本は、月世界旅行の全2部中の後編らしく、大砲打ち上げ以降の物語。
前編は「地球から月へ」という作品で、大砲打ち上げまでのお話らしい。

なるほど道理で…この本だけ読むと、J.T.マストンについて説明が足りなくて、何一体どういう人なの? 相当すげーみたいだけど、人物像がいまいちわからない!でした。たぶん、前編で活躍してるんですね…。
なお、後編だけでも楽しめます。J.T.マストンが気になるだけで(笑)、基本的には冒険しているのは後編だと思うんで。



大砲の中に入って月に行くと言う


大砲… ロケットの宇宙船などなかった時代なので、なるほど大砲という発想になるのか…すごいエネルギーで打ち出せば、地球の重力を振りきって月に到達(衝突)するだろう!という話。よく知らないのですけども、何かちょっと違うような…でもよくわかんないや!まあいいか!って感じで読みました。もやもやしながら読んだ。

ちなみにこの作品の科学的な考証については、Wikipediaに多少書いてあります!(ネタバレ注意
https://ja.wikipedia.org/wiki/月世界旅行



この頃は月の地質についてもわからないことが多かったようで、クレーターはすべて火山だと考えられていたみたいです。っていうか、ほんとはやっぱり生き物住んでるんじゃない?と。 さすがに「海」は、水じゃないってのは分かってたみたいですが、決して見えない月の裏側はどうなっているのかは、まだわからないぞ!!くらいのロマンがあったみたいです。

クレーターは隕石がぶつかったあとだし、月の裏側は相変わらずクレーターだらけ…と、さすがに私も知っていたので、大砲の中の勇敢なメンバーたちが一生懸命研究したり、想像したりしている姿になかなか感情移入できなくて、そこらへんがですね、読んでいて疲れるところでした。

もちろん、この時代の作品としてはとても科学的で、素晴らしい作品なんだと思います。
ヴェルヌさんの作品はとても気をつけて、すでに科学的にわかっていることを正確に引用し、分かっていないことは、分かっていないこととして、想像を膨らませつつも、単なる空想かもしれない…というオチは多少含めておくという手法が取られてる。ということがそろそろわかってきた。地底旅行もそうだったな~。まさかそんな!という驚きの世界をチラ見せするけど、そこに踏み入れて完全詳細に描き出したりはしない。
ドイルさんが失われた世界でがっつり踏み込んで大冒険させちゃってるのとは違って…チラリズムなんですね~
そこらへんが、知的なジェントルマンの薫り…でしょうか。

ところで、キャラクター的には、ミシェル・アルダン一本ですね、ミシェル最強っす。大砲の中に入っていようともこのまま死ぬかもしれないときも薔薇のようにロマンを語るおおこれがフランス人、フランス人、面白すぎます。どんなときでもいつもミシェルが笑わせてくれて、読んでてまさに花がありました。ミシェルに注目ですよ!



つきがきになりはじめる


この当時、月のことはあんまり分かってなかったわけで、登場人物たちも、「この地形は実に不思議だ…あれこれといった説があるものの、まだ何故こんなことになってるのか分かってない」と、色々観察してるんですけどね。

私も、それを読んで、じゃあその地形ってなんなんだ? と、Wikipediaとかでしらべてみたわけじゃないですか。月は人類がその足で到達している天体でもあるし、たくさんの衛星や多くの望遠鏡で観測されてるんだから、何もかもほとんど分かってるもんだとばかり、思ってた。そしたらなんと、よく調べてみると、「こうじゃないかな~と思うけど実際はっきりとは解明されてない」という説明ばかり出てくるんだもんね!

木星や土星の衛星や、冥王星のことも撮影したり研究したり進んでいるのに、まだ月のこともあんまり分かってないというこの事実…!! すごく考えさせられました。そして月にかなり興味がわきました。

宇宙番組とか宇宙SFとか大好きですけども、月の地質なんてのは全然詳しく知らなくて、「隕石がぶつかって穴だらけなんだよね」程度の知識しかなかったし、それ以上興味もなかった。そいえば月面着陸の話も出てくるマンガ「宇宙兄弟」を借りて読んでたけど、スルーしてた。そんな程度の私が、これを読んでから、月の地質が気になり始めた。ヴェルヌさんの、興味とロマンを掻き立てる技術、さすがだ!!と思った。

海って表側にばかり集中しているの? 火山活動? 重力異常? 溶岩トンネル?
月は今でも謎がいっぱいなんですね!



ツィオルコフスキーさんとヴェルヌさん


こないだ見た、NHKの宇宙番組(コズミックフロント・ネクスト)で、ソ連の宇宙開発の父といわれるコンスタンチン・ツィオルコフスキーさんのすごい発明のきっかけになったのは、この月世界旅行である、って紹介していました。やっぱりそうなのか…ヴェルヌさんマジすげえと思いました。 でもツィオルコフスキーさんの発明はもっとすごいんですね、すごすぎてびっくりした。

これからも、ヴェルヌさんの作品が…段々と科学的に古くなっていくとしても、それでもやっぱり、子どもたちのロマンをかきたてて、すごい研究者や冒険者を生み出すきっかけになるんじゃないかなあと思います。
今読んでも…この通り多少、古いと思うことがあってもやっぱり興味がわくんだから。
何もかも分かってて、わかってる通りのことを書くだけの論文じゃ読んでもワクワクしないよね。
謎があるからワクワクするんだよね!



ヴェルヌさんと、ポー様


ところで、エドガー・アラン・ポーの作品の中にも月に行ってみた的な話がありましたね(ハンス・プファールの無類の冒険)。実験動物を連れているところや重力の考え方などもどことなく似ていた気がしました。 あれは猫を連れて行ってて、猫好きの私としては結構ダメージでかく… ちなみにこちらのヴェルヌさんの作品は、犬を連れて行ってて犬の末路もかなりダメージでかく…。そういえばアーサー・ゴードン・ピムも私が一番気になったのはワンちゃんがどうなったかってことでしたからね正直マジで。

今、ヴェルヌさんの「氷のスフィンクス」を読んでいます。なんと驚き、ポー様の作品(アーサー・ゴードン・ピムの冒険)を受けて書かれている作品なんですね。長いのでまだ半分しか読んでないんだけど、最初の方を読んだだけでも、ヴェルヌさんがポー様をすごい尊敬していたことがはっきり分かります。ポー様の影響を多く受けていたんでしょうね。

しかし、ヴェルヌとポーの作品はあくまでも、全然性格が違うよね。理論的で整然と科学的なようでいても、それらすべてが精神の美しい暗闇に堕ちていくポー様の黒い芸術と、科学の力で切り開く光の未来を力強く見つめている、のにどこか感情がやりきれなくて涙を流しているヴェルヌさんの作品と。

どっちもいい… どっちもいい…よねえ~。




ヴェルヌさんの作品をもっと読みたいと思っていくつか本を買ったけど、入手が難しそうなのとか、電子書籍にしかないのとかあって、ちょっと切ない思いをしているこの頃です。
やっぱり私、本は紙媒体派なので…。
もっとこう、ヴェルヌブームがきて、がんがん翻訳出版されないかしら!!!




月世界へ行く (新装版) (創元SF文庫)
ジュール・ヴェルヌ
 訳:江口 清

関連記事
スポンサーサイト
テーマ: 読んだ本の感想等 | ジャンル: 小説・文学
[プレイ日記]フェイト/エクストラ CCC(3)セイバールートクリア | Home | [プレイ日記]フェイト/エクストラ CCC(2)結構うつうつします…

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/06/27 (Mon) 23:30 | # | | 編集
Re: No title

パトラッシュさん>

こんにちは、いつも見に来てくださってありがとうございます!

ミシェル、キラキラですよね! 一人だけ色がついてるレベルで想像できました。ウェーブかかった髪でまつげが印象的な無駄に薔薇をくわえていそうなちょっと斜め上なイケメンとして脳内に浮かび上がってくるのです(笑) どこに行っても脳内薔薇園で生きていけそうな…これがフランス人というものなのか、すごすぎる!
アマゾンのレビューで見かけた気がしたんですが、「ヴェルヌさんの各国人ステレオタイプをおもしろく描くスキルすごすぎる」というご意見…ほんとそうだなと思います。ヴェルヌさんがフランス人なのでフランス人はともかくとしても、ドイツ人とかイギリス人とかアメリカ人とかアイスランド人とか…もう…なんでこんな面白く書けるのかと思います(笑)LOVE♡


> 以前、世間で話題になった『火星の人』なども、
> 読後、いままで以上に火星について気になったりしましたものね…。

私は読んでいないんですが、そうなんですか! 火星気になりますね~
読んだらもっと熱くなれるんですね? 気になります。


> 調べていたら一緒にオススメと『モーガン・フリーマン 時空を超えて』がでてきて、
> こちらのシリーズは大好きで視聴していたのですが、それはつまり
> 『コズミックフロント・ネクスト』も面白そうだと…なんということだ○HK。

いや、まあ、海外の科学ドキュメンタリーの密度やスピード感に比べると、やっぱり○H○は劣ると思うんですけど…その中では比較的良い方の番組と思ってます。あんまり期待しないで見てくださいね☆
海外の番組はぎゅっと詰まってて、面白いですよねえ。日本の科学ドキュメンタリーももっとぎゅっと圧縮したやつが増えるといいんですが…なんか既出情報で薄められてるのが多い印象が…。


> ワンちゃん…サテリットの末路は挿絵ともあいまって、なんとも…
> 少し異なりますがライカなどの宇宙犬を連想してしまいます。
> 宇宙に飛び出す過酷さを表現するための演出なのかもしれませんが、
> 冒険に危険、心に闇などを期待する部分があることも否定できず、
> 私を含めて読者とは、なんとも業の深いものですね。

そう、挿絵辛いですよね…><
演出上仕方ないのかもしれないけど…うう~ この頃は、どうも、動物が犠牲になる話を読むとテンションが下がってしまって、読む意欲がなくなってしまうのが辛いです…。


> 今回の再読も内容は同じはずなのに、時期や視点を変えることで違うものが見えてくる…。
> 月並みですが、これは自分の変化を写し出してもいるという事かな?
> きっと音楽やゲームなど他でも当てはまるのでしょうね…。
> 一度触れただけで理解したつもりになるのは早計だと、わかっていても、
> 次々と新たなコンテンツが流れてきて、なかなか振り返ることができない。

そうですね~私は再読って基本的には、全然しないので…
パトラッシュさんは再読しててすごいなと思います。
再読しないで自分の咀嚼した記憶の中のイメージを大切にするのもそれはそれで、オンリーワンなマイウェイでいいかなあ なんて自己弁護をしている私だったりします…。そうなのですよ、積み本やら新しいコンテンツやらで、全部再読している時間が…というこれも言い訳かな。


レビューとも言いがたい乱雑カオスな適当感想ですが、パトラッシュさんのちょっとしたきっかけになったなら幸いです!
いつも細やかなコメントありがとうございます♪

2016/06/28 (Tue) 10:00 | KMOK #WlAMjTRI | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する