[感想]妖怪ウォッチ コマさん ~たまきと流れ星のともだち~ (ビッグコミックススペシャルヒバナ)



妖怪ウォッチ コマさん ~たまきと流れ星のともだち~
柴本翔



妖怪ウォッチのスピンオフまんがですが、大人向けです。
フルカラーでとても綺麗で感動的な漫画です。
ちなみにこれは第二弾です。

が、コマさん萌え可愛いだけの漫画じゃないんですよ…
噛みしめるほどの芸術性を兼ね備えた作品でした。
子供じゃちょっと分からない、重さがあります。






予想に反して芸術的な、大人向け漫画です


私の友人がコマさんの大ファンであります。甥っ子から借りて妖怪ウォッチにハマった私は友人に妖怪ウォッチをおすすめした、その結果彼女はコマさんのファンになったわけなんですね。
で、たまたま私がAmazonでこの漫画を見つけたら、異様なまでの高評価が非常に気になったので…
そんな成り行きで、1巻、2巻と我々は入手し、読んだわけです。

しかしほんとに、予想を遥かに超える、上の方にある作品でした。
これは妖怪ウォッチがどうのこうのではなくて、著者の柴本さんの表現力と…人生への真摯な・真摯すぎる眼差しを、どストレートに感じるんです。

いや、コマさんは重要キャラとして物語の中心を貫いているし、可愛いですよ。
でも、それ以上に、感じるのはコマさんのことじゃなくて、作者さんの爽やかでそしてどこか切ない心と、新鮮な表現力なのです。

フルカラーであることでなお、絵本のような個性と透明感を兼ね備え、独特の世界を作り出しています。ちなみにフルカラーで、コマの外まで全面的に色がついてるおかげか、お値段も高いです!

この漫画はこの表紙から言っても、タイトルからしても、妖怪ウォッチが好きでしかもコマさんのファンの人しか手に取らないと思いますが、それがもったいないくらいの、立派な芸術作品だと思います。


コマさんはかわいいぞ


コマさんでなくても、妖怪ウォッチでなくても成り立つほどの立派な作品だ…と正直、そう思いますけども、ではコマさん萌えの方は楽しめるかと言えば、楽しめると思います。私はコマさんはあんまり好きってわけではないですけども(私は可愛いキャラよりかっこいいキャラが好きなのだ)、それでも、よく描けているなあ…って感心します!

コマさんって、妖怪ウォッチ1のときと、アニメ版と妖怪ウォッチ2以降と、キャラがやや違う感じがしていて、どちらが正しい・どちらがイイかと言われてもこれもなんとも言えないなあ、っていう感じがしてるんですが… この漫画のコマさんこそが…真のコマさんであるというような感じがしてしまうくらい、素晴らしいキャラクターなんです。

アニメ版に始まる最近主流のコマさんはあざといまでの田舎ボケ要員で、妖怪ウォッチ1では臆病な田舎妖怪。一方この漫画のコマさんは、自立して自然で純朴な、超越的存在でありながらも、子供らしい、座敷わらしとかそんなような、心優しくて不思議な隣人妖怪であります。不自然な田舎者オーラの押し売りもなく、臆病でもありません。それでいて、アニメ・ゲーム版との違和感もありません。

こういう生き物だ、って感じがする、完成された感じ。自然さがある。著者さんがコマさんをしっかりと噛み砕き、自分の中で再構成し新たに生み出したからこそなんだろうな。これがコマさんだ…。とさえ思わせてくれるのです。コマさんファンも納得の出来だと思いますよ。そしてもちもちしていますよ。

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▲2巻から、私が可愛いと思ったコマさん……変顔シーンばっかですけど、変顔KAWAII

ちなみに、2巻にはコマじろうがちらっと出てましたが、あとは他の妖怪は出てきませんし、「妖怪ウォッチ」というアイテムも出てこないです。コマさんと、ある人間の、友情の物語…ってかんじです。



以下ネタバレ避けますが、1・2巻の感想を。
どちらもネタバレは絶対回避すべきな感じの緊張感のある内容なので、内容については書きませんよ!!




1巻(ハナビとキセキの時間)について


結構前に読んだので、細かいところは覚えていないんですが、読んだ印象として、実は、結構辛かったです。

2巻も1巻も涙なしに読めない感動的な生命の物語になっておりますが、特に1巻は重く難しい印象を受けました。登場人物たちも複雑な人物に感じたし、結末も重いし、感動以上に考えさせられるところのほうが多いと感じました。素直に泣けないくらい、難しい気がしました。

特に主人公の内面の複雑さは、人によって解釈が様々異なると思います。私も読んでいて測りかねました。今でも悩んでいます。でもなあ、主人公の心情は、主人公の状況になった人にしか分からない領域という気もするのですよね。

なので私としては、読後感が重たくて、2巻を手に取ろうという気には正直なれないくらいだったんですよね。
コマさんは可愛いんですけども、やや、物語の重さとギャップがあったような。いや、あったと思う。そのギャップを逆手に取っていたような手法、文学的な重さを持った内容。まさに純文学的でした。

Amazonではやはり全体的に評価が高いんですが、もっと意見が分かれてもいいくらいに思います。


2巻(たまきと流れ星のともだち)について


1巻のあの重さから考えて、この作家さんは重い純文学的な作風だろう…きっと2巻はもっと大変なことになってるに違いない…と思った私。しかし友人はあっさり購入し、読んで「ものすごく号泣したこれはヤバイ読んでほしい」というので、めちゃくちゃ身構えたわけですよ。めっちゃ身構えて読んだ結果、(あ、これは1巻よりは、綺麗にまとまってて、普通に泣ける。よかった…)と思いました。
ちなみに私、涙もろいので、あんまり辛い話、泣ける!みたいな悲劇は苦手なんですよね。だいたいどんな作品でも泣けるのに、なぜわざわざ「泣ける!!!!!」という苦行な作品を見なきゃいかんのか分からんぬ!なのです。

そんな私からして、ちょっと1巻は辛かったわけですが、2巻は、大丈夫でした。もちろん、泣きましたけど。さらっと二回目読んでもめっちゃ泣きましたけど。

2巻は、コマさんが物語をしっかり動かしていて、躍動的、ドラマティックな盛り上がりがあるなと思いました。1巻では、コマさんはむしろ主人公に振り回されていただけのようだったので。2巻のほうがより、コマさんの物語として完成度が高いと思います。また、この経験はコマさんの成長にとって大きなものだったのではないかと感じさせられる気もします。

しかしこの話もやはり純文学的な思索を含んだ物語です。激動の時代、主人公の人生、周囲の人々の心、そして過ぎた時間が何をもたらしたか。彼女の目に宿った光をどのように解釈するか。とてもとても、ただの萌え漫画などではなく、圧倒的大人向け漫画です。

私と友人の感想の一致した所としては、これは映像化して欲しい。短編映画にでもして欲しい。ってことでした。





あとがきを読んでいて、著者さんはお若い方なのかなあ、と思いました。
お話から感じる、人生に対する真剣な問い、生命に対する叫び、それは若い青春の怒り、情熱。
清らかなのに、なにか憂鬱な感じ。静かで空虚で、切ない感じ。
絵柄から溢れ出ている、形にならない感情…もがきながら表現しようとするかのような筆致。
それらが高密度の作品として胸に刺さってくるんですよね。

きっとコマさんとも妖怪ウォッチとも関係なく、美しく深い作品を生み出していく作家さんだろうと思いました。
がんばってください! 応援!






妖怪ウォッチ コマさん ~たまきと流れ星のともだち~
柴本翔

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