[感想]恥知らずのパープルヘイズ(小説)

4087806162恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-
上遠野 浩平 荒木 飛呂彦
集英社 2011-09-16

by G-Tools

個人的おすすめ度:rating_46.gif

ジョジョ5部の続き設定の小説。フーゴが主人公




作者的諸事情によりあのようなことになったフーゴさんを再解釈する作品ということで。
最終的にフーゴがどういう位置づけになったのかなと、自分でも納得してみたかったので購入しました。

値段高いなと思ってたけど、見てびっくりしました。
何ですかこの ゴーーージャス!!な装丁。
銀ピカじゃないですかマジで銀ピカしかもハードカバー!
さらに裁断面に色ついてる素敵装丁!
そこまでする必要あるの?ハードカバーじゃなくて良くない?
というのが正直なところだったりする(笑)


結論から言うと
内容的には…それほど満足感が高くありませんでした。





文体


この作者さんの小説は初めて読みましたが…

中盤くらいまで読んだ時に たまにこう、チクチクっと、文体の違和感を感じる点があって気になりました。常にというわけじゃないけど、部分的に「ん?」とか、「ここはこう書いた方がいいんでは…」とか思ってしまうことが有りました。

私はあんまり小説を読まないほうで、特に現代小説は読まないのですが、このように文章を直した方がいいと感じることは…いままで殆ど無かったなあ。珍しい体験でした。ラノベ読んでもそんなに文章表現で引っかかることなかったのになあ。それを稚拙と言うべきなのかどうかはわかりません…。絶対的に間違いのある文体というわけでもなく、気にならない人は気にならない程度だと思います。

ジョジョっぽいセリフ使いとかに気を使っているのはなんとなくわかります。ラッシュ時のわけわからん連呼とかね。頑張ってるなと思った。頑張ってるなと感じさせるのは不自然な証拠だと…思わないでもないですが。


挿絵など


最近の荒木先生の絵柄なので、5部を読んだばかりの私にはかなり違和感がありました。ほんとドンドン芸術的になっていってますねー。妙なバタくさいアクの強さが控えめになって、より落ち着いて欧風な、こじんまりしたオシャレな絵になっているなあと思いました。特に目が小さくなっているなあ。

挿絵は、冒頭のとある写真以外には物語的な挿絵がなく、オリジナルキャラクターの設定画的なものだけがありました。キャラクター単体の絵なので無機質な印象で、少し物足りなかった個人的に。荒木先生の絵というと、枠からはみ出す構図と背景や小物などのすごい配置が見どころなのだな…それがないのは物足りないな…普通に枠内に普通の正面アングルで全身が入っている設定画って物足りなさ抜群だな…ということを改めて気付かされました。


装丁


前述のとおり装丁がマジで豪華。
銀色ベースの表紙カバー。ほんとに銀色なので、あまそんのレビューで見かけたとおりに妙に傷つきやすいです。買ったばかりなのになぜか細かい傷がたくさんついていました。無傷で済ますのはかなり厳しいと思います。

銀とパープルのとてもクールな彩色。落ち着きがあってカッコイイ、と思うんだけど、何度も見れば見るほど無機質な気がしてしまいました。

本の裁断面が紫色に塗ってあるやつで、横から見た時には非常に鮮やかで美しいです。カバーを外した表紙も紫色で徹底的にパープルです。

さらに、栞がわりのヒモも紫色だッ!っていうかこのヒモついてるとは思わなかった!びっくりした。これがついているほどの本なのか、という印象がありました。大したことじゃないかもしれないけど実は「本格的」な雰囲気を醸し出すのに重要なポイントじゃないですか?

本格的なハード装丁で、ページ数もけっこうあって、本棚に収めた時も見劣りしないですが、内容的にはこれほどの装丁にすべきものなのだろうか、あまり私はそうは思えませんでした。銀色のままでソフトカバーでもいいんじゃないだろうか。というのが個人的な印象です。

ちなみに…装丁的にはこの値段は納得します。装丁込の値段と考えるべきかと思います。いや、装丁が高くて値段に加算されるのは当然のことですけども、装丁がこの装丁ではなかったら値段下げてほしい内容だと言う意味で。


ネタバレ無しで内容について


最後の戦いに参加できなかったフーゴが悩み続け、悩みを超えるために恐ろしい戦いに身を投じる物語です。
敵はパッショーネの諸悪の根源である麻薬チーム……フーゴと麻薬チームには意外な接点が…? とても危険な戦いに、急ごしらえであんまりチームワークが良くない仲間と共に挑みます。
そしてこの作戦の背後にはあの新ボスの圧倒的な姿が…。

フーゴの悩みは彼自身でさえも理解できない自身の能力・行動を内包して深い。先立った仲間たちのことを思っても思ってもわからずに苦しい。

暗澹として堂々巡り、後悔で一杯のフーゴがツライ、フーゴの成長小説です。










以下ネタバレあり













フーゴの苦悩


フーゴってサ、小説書きとしては扱いやすいキャラだな。と思います(笑)暗くて悩んでて。
つまり暗くて悩んだ小説でした。

仕方ないことなんだけど…ジョジョの特徴って「どこまでも底抜けに明るい」ことだと思うので、このようないかにも暗くて悩んだ小説ってイメージ違うな…って思っちゃった。ごめんねフーゴ!

フーゴの悩みが間違ったものだと言うわけではなく、ああいう展開になっちゃった以上はそういうしわ寄せが来るのはありそうな話。書くならこういう展開しかない。というのは…わからなくはない。

わからなくないけど、あ~なんかJOJOじゃない~…><

構成が理解できるから余計にもどかしい気分になる。あ~なんかこう、もうちょっと違う角度はなかったのか!あ~なんかもうちょっとフーゴさんぶっちゃけたりぶっ壊れたらいいのに~あ~なんかマジメすぎてジョジョっぽくないという、マジメなドージンが陥りそうな展開がウズウズするううグハアァ

実はフーゴが恐怖から離脱したのではなく、彼なりの算段があって裏で活躍していたとか、なんかそういうほうがよかったなあ。それとも文庫版あとがきにあったように本当にスパイだったから敵の戦略的な事情でまたは心情的な理由で離脱せざるを得なかったほうがよかったなあ。この小説によるとブチャラティたちが戦ってる間ずっと引きこもって苦しんでいたというフーゴさんが可哀想でツライし、モヤモヤした悩みがスッキリしない。ツライ。

まあともかくフーゴさん、それで成長できたんならよかったですお疲れ様でした…。ただ私が期待したような説得力ある内容ではなかったなあと思いました。もっとガンガンキレても良かったのよ!


パープルヘイズ


パープルヘイズの能力の扱いづらさは大変ですよね。これを使って小説書くのはこれまた大変だと思うわ。
でもパープルヘイズは意外とお馬鹿でかわいいやつだったよね。そのお茶目さもっとアピールしてくれたら嬉しかったな。

パープルヘイズの破壊力に対しての恐怖をシーラEが抱くあたりも悪くない。もっとみんなが恐れてくれたら優越感が味わえた(読者的に)。

この破壊のジレンマを乗り越える方法はやっぱりスタンドの成長!しかないよな!と期待したんですが、……び、ビミョウな成長???というかなんとも言えない回避法…すぎて、モヤァッ…としました。もっと劇的に超進化してこれはもう敵わないぜフーゴには誰も!!!っていうくらい強くなってくれたほうが嬉しかったかも。



敵のキャラとスタンド


仲間も敵も、ジョジョにいそうでいなそーな。いるといえばいるけどいないっちゃいない。という感じの人達でした。あんまり感情移入できなかった…。意外とみんなよくわからない。わかるけどわからん。

ただ、後悔がないジイサンは中々こう、ジョジョにない、裏打ちされた哲学的な手強さを持った敵だ!と思いました。このキャラは深いですね。普通にこのジイサンがラスボスでもよかったのではないかと思います個人的に。後悔がない人間を超える精神の強さがあるならそれが後悔に悩まされるフーゴの勝利でもあってよかったようにも思うのですが。

麻薬効果中心の敵の様相はいかにも狂気的でグロテスクで、やはりこれも色んな意味でジョジョにはない風景だなと思いました。ジョジョってグロがあるわりに、倒錯的なエグさが意外とないイメージがあります。フェチズムが極めつけになっちゃったグロとか野望がぶち抜けたグロはあるんだけど。今までになかった圧倒的な敵の姿としてこのグロはある意味ありかもしれません。

バトル描写がよかったというレビューが多かったけどそれほどスゲー!とは思わなかったです。ただ、荒木先生の絵で書いたらたしかにありかもっていうシーンはけっこうありました。やはり老人のスタンドがそういう意味でも一番おもしろかったな!

シーラEはちょっとキャラが掴めないところがありました。最終的にフーゴと鏡像に扱われながら対照的な行動を取るもんだから、なかなか直感的にはわからなかった…。
ムーロロさんは(名前忘れたから調べました)妙にいいところ持って行っててコノヤロー(笑) おまえなんだったんや…。フーゴよりいいとこどりしてるのが結構許せなかった私。もっとフーゴにいいとこ譲って欲しいぜ私は。



で。 ジョ ル ノ 様


結局もっとも深く冷たい違和感を残すのはジョルノ様です。この作品が冷たい印象を残すのは全部ジョルノ様のせいと言っても過言ではない。

実は5部読んでてもジョルノってほんとに不自然なまでの聡明さと判断力が恐ろしい、底が見えないし顔も見えないヒーローだった。
その印象がそのまま現れたかのようなこの小説のジョルノ様。
つまり「何かを考えているのかわからない」「カリスマ」「なんか不気味」という空っぽな印象が、他の作者が書くことによって余計に強調されちゃって更に理解不能に不気味になっている気がします。。

確かに、ジョルノ様を書けって言われてもマジで困るよな~。何考えてるのかわかんないもんあのひと。底が見えないし感情が見えないし。人間味がないんだもん。書こうと思ったらもう原作を無視して人間味を再構築するか、原作を通すためによくわからないままにしておくかどっちかだよな~。
そして主人公が仲間はずれになった存在である以上、ジョルノに人間味を与えて描き直すチャンスもないかも。やっぱりこうならざるをえないのかも。っていうか原作を再構築するのはジョジョに対しては危険過ぎるもんね。

そういう考察はともかく不気味で気持ち悪くて仕方なかったです(笑)
ジョルノ様怖い。確かにDIO様のようなものだといわれると納得しますが。
そういう扱いでいいのかしら。あれを見ると全てを見透かした言動や仕草で伝える様子など、そういえばいかにもDIO様のような超越者の姿です。

私はもっとジョルノに人間味のある感情を、太陽のような豊かな情を与えて欲しかったな~。彼らを救った名も無きギャングたちのように、ブチャラティたちのように、心にもっているアツイ魂を描いて欲しかったな。
いや、持ってると私は信じてる。ぱっと見、何考えてるかわからない人だけど、やっぱりどこまでもイイ人だと思いたい。だって最初の頃は、相手が良い奴だと分かったら敵視しなかったじゃないですか。つまりいいやつを守りたい=本人も良い人ですよね!よね?!

ジョルノ様について考察し始めると延々終わらない事になりそうなのでやめておきますね
そして無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!


4087806162恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-
上遠野 浩平 荒木 飛呂彦
集英社 2011-09-16

by G-Tools

個人的おすすめ度:rating_46.gif

ジョジョ5部の続き設定の小説。フーゴが主人公


関連記事
スポンサーサイト
[感想]遠ざかる風景II - 小椋佳 | Home | [感想]レイトン教授VS逆転裁判 魔法音楽大全

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する