[感想]ほんの二つで死んでゆく - 小椋佳

B002WFMU0Yほんの二つで死んでゆく
小椋佳
USMジャパン 2010-01-20

by G-Tools


子供に対する羨望、大人に対しての失望。幻想的なアルバム



小椋佳 1973年リリースの5枚目のアルバム。5枚目なんですね!?

我が家には小椋佳のレコードがいくつかあったのですが、
このレコードをCDに録音して聴いていました。

とても印象的だったのでついにCDを買い直しました!
ということで感想を書きたいと思います。
あんまり有名でも人気でもないマイナーなアルバムのようですが、若者向きのアルバムではないかと思っています。

少年少女たちへ!


内容は~子供と大人の精神の対比、悔しさと羨望…一言で言えば暗いです。

死をも内包するこどもの純粋さ、大人である自分への怒り、
そしてこどもたちへ託す果てしない希望。


Wikiを見ると小椋佳さんがだいたい29歳ころのアルバムでしょうか。
社会への失望感が強く描かれていて、若々しい精神を感じさせます。

小椋佳さんはデビュー曲「しおさいの詩」からしてもういきなり青春は終わったと言うけれど、この熱い願いは青春そのもののように思います。
社会の矛盾を知る多感な少年少女に聴いてほしい名盤です!



死の幻想


まだこの頃はアレンジにロック色がなく、フォーク的で静かです。
「みんなのうた」に採用された歌なども入っていてサウンドは幻想的。
静かで美しくも哀しいアコースティックの響きは、タイトルから思わせる、ガラスのように澄んだ子どもたちの死の世界のようです。
母の温かさも遠ざかって、子どもの時間は永遠になる。とても冷たい印象だけが残ります。

でもこのアルバムは決して子どもの死を哀れんではいない。
哀しいのは大人たちなのです。
だからこのアルバムは勇ましい進軍の歌で終わります。

ブックレットにはこのアルバムを製作するきっかけとなったとある事件についての所感が述べられており、とても深い内容です。



好きな曲など


1. 西の空だけが
2分ちょっとのかなり短い歌です。その短さが劇的な展開です。イントロダクションにふさわしい壮絶な歌。

2. オナカの大きな王子さま
「みんなのうた」で有名な(といっても私はみんなのうたで見たことはなかった)歌です。当時は有名だったんですかね。優しい弾き語りで童話のような世界が歌われています。イントロには母と子の温かい風景が描かれます。とても温かな雰囲気を持つトラックですが、このアルバムの中にあって聞くとひんやりと冷たい印象が残るのは私だけでしょうか。それにしてもこのオナカの大きな王子さまのお話って小椋佳さんが創ったものなんですか?ほんとに絵本や童話に有りそうです!そして美しいメロディです。

3. 海辺の恋
この歌の詩は小椋佳さんによるものではないそうですね。大変美しい、そして古風な詩が印象的で、とても好きな歌です。「わらべのごとき」男と女の恋。わらべの恋ではなく「わらべのごとき」と歌うからこその深いノスタルジーが本当に美しいです。曲もとっても綺麗です。名曲です。

4. ぼうやおねむり
かいな!?かいなってなんだあぁ…って、日本語力に感動。哀しげな旋律で、不穏な感じさえするのだけど。ママのぼうやへの目線は母性の純粋な結晶のごとくです。しかしこのアルバムに入っている限り、最後の「一緒に…」っていうのがまた、ちょっとヘタしたらホラーな想像もしてしまうのは私だけでしょうか・・。そんな死の予感の底冷えがこのアルバムの魅力でもあると思います。

5. 公園に来て
いやー・・・初めて聴いた時にマジでびっくりしました。い、いつまで歌ってるんだこの歌は!?何番まであるんだこの歌は!?ってなりましたね。実際に長尺な歌です。その上単調に続いていくんですよね。劇的なものが何もない、メロディも出来事もそうなのです。その平凡で単調な中にこそ青春の窮屈な苦しみがあります。鬱屈した形にならない想いが、突き刺さってくるんですよね。真綿で首を締められるかのような。

6. 帰り道急ごう
この曲はアルバムの中でも明るくノリの良い曲。音もなんとも懐かしいかんじで、ノスタルジックな気分になります。昭和の風景だねえ。

7. 同情(あわれみ)
早口な詩の乗せ方がこの頃のフォークっぽいですね。所詮同情なんてそんなもの。生命の残酷さに痛烈な皮肉を投げかけています。痛烈痛烈、ツボを突かれるような痛みがたまらない。

8. 風車まわれ
印象的な歌です。アルバムジャケットにも風車を持っている子供が描かれているし、それがなくてもこのアルバムというと、なんだか一番先に思い出してしまう印象的な情景です。無垢な中に破綻を感じさせる病んだ歌詞。次第に次第に…遠くへ行ってしまう幼子。焦燥を感じさせる回るストリングス。大人は届かない手を伸ばすしかない。絶望と美。こういうのを耽美というのではないだろうか。

9. ほんの二つで死んでゆく
アルバムタイトル曲。『人の世のお伽話をかき集め』…なんと幻想的で美しく哀しいフレーズでしょうか。鮮やかで透き通ったメランコリー。ちょっと終盤が激しすぎるアレンジな気もするのだけど。さらっと儚く終わってもいいのではないかと思うのだけど。

10. 暇つぶし以上に
ヒィイイイマツブシッ!イジョウニッ!ナニヲッ!して~いますかぁ~…
歌詞がもう本当に強烈な皮肉に満ちていて、大人社会への強烈な一撃です。痛い痛い、ああ~痛いッ。詩人としての嘆きは高慢な響きがありながらも、実はアナタのなかにワタシが居る、自分で自分を攻撃している歌でもあるのでしょう。さあみんなでヒイイィマツブシッイジョウニッナニヲッ!してぇ~いますかぁ~…orz←まさにこういうかんじで。 私はたまに日常的にもこのサビを歌います、言い得て妙な名言です。

11. 風はすぎ人もすぎ
改めて聴いて、アレンジが最も印象に残っていた曲はこれだと思いました。このアルバムの冷たい風景はこれだ。冷たく美しい、青い宵闇の風景が目に浮かぶのは、この曲のせいだ。この青い青い、底冷えする美しい宵闇の風景が忘れられなかったのです。この曲を聞くために、このアルバムを買い直したんだと思いました。歌詞は難しくてよくわからないんですけどね。

12. 子供らの明日
これまた痛烈な歌詞が焼き付きます。子供らの明日は未来でー私達の明日がただの別の日で。頭抱えてorzです。そうだよただの別の日だよウワァアアorz この曲、このアルバムはロックだなあ、とおもいます。サウンドは全然ロックじゃないですが、痛烈な失望・怒りに満ちていて、まさにロックじゃないですか。いろいろwikiを見ていたら、その後小椋佳のサウンドをロックに彩ったのは星勝さんなんですね。星勝さんがこのアルバムでアレンジやっていたらどんなロックに成っていたんだろうって思うとドキドキしちゃう。 とにかく若々しいアルバムだと思うのです。後年の美しい詩の世界ともテイストが違う。この若々しさは若い世代向きだと思うのです。私も若い頃に聞き、そして(小椋佳さんが制作した年齢に近い)今聞くからジャストミートなんだと思います。

13. 僕達の進軍
そして子どもたちに希望を託すこの曲で締め! 爽やかで勇ましい「進軍」のリズムとコーラス。これはロックアレンジじゃダメだなと、このアレンジが最高だなと、思う曲です。少年たちのコーラスの絡み方がとってもカッコイイです。





B002WFMU0Yほんの二つで死んでゆく
小椋佳
USMジャパン 2010-01-20

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