[感想]海底二万里 (創元SF文庫)

4488517048海底二万里 (創元SF文庫)
ジュール・ヴェルヌ 荒川 浩充
東京創元社 1977-04-22

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かの有名なジュール・ヴェルヌの超有名な作品です。
かの有名な東京でずにーしーでは中心の火山周辺の施設がこの作品のイメージで作られていますね。


主人公、フランス人で学者のアロナックス教授はいろいろあって謎の潜水艦に搭乗することに…。
当時の技術では目にすることが出来なかった深海世界、極地などを巡り、驚異の風景を目にすることに!!


そしてその潜水艦の主は最大級に謎の人物『ネモ船長』
『ネモ船長』は何者なのか? 目的は何なのか?
この謎はまさしくロマンです!








長いんだよ・ね!


大学の頃に図書館から借りてハードカバーの本で読みました。ハードカバーですから、子供用…というか少年少女用の本として分類されていたのです。おそらくそれは完訳ではないと思います。それでも長い!!長かった。
図書館の返却期限がたしか2週間なんです。たいがいのものは2週間で読み終わってました。
でもこれは読み終わらなかったんだわ。終盤まで読んだけど読み終わらなかったんだ。

という程度に長いです。結構長いんです。
とはいっても文庫1冊ですから、ものすごく長編でもないけど、短くはないですよ。分厚いです。

で、実は終盤まで読んだっきり放置してたんだけど最近こちらを購入したんです。
長かった…。ホント。



抄訳でもいいかも・・


ジュール・ヴェルヌはSF小説の元祖的存在、パイオニアと言われています。当時のSF小説の手法として、科学的な見識を羅列してそのリアリティを印象づけるというものがあったのだろうと思います。
魚の名前が羅列される。記録的歴史的事実が羅列される。そのへんが半~1ページにわたっている、のがしょっちゅうある!! これは疲れる!!
私は海洋生物に興味があるので、海洋生物の説明と羅列も割りと興味深く読むこともできな・・くもないのですが、それでもやっぱりちょっと多すぎるな!半分でいいな! 半分でも一般人はダルダルだろう!! と思いました。

ただ、本当に様々の海域の海洋生物の特徴と名前が羅列されているのには驚かされます。どうやって書いたんだ?というほどの博識さ。膨大な取材を行ったのだろうことが感じられて、本当にヴェルヌはすごいなー!!徹底的だ!リアルだ!と感動させられますので、ヴェルヌファンなら我慢してでもしっかり読む価値はアリだね!



現代の科学的常識とのズレ


百年以上前に書かれた作品ですので、百年後の我々からすると誤った知識が散見されます。細かいので気にならないところから、ドハデにそれは違うなというところもあります。これを読んで信じたら大変な間違い知識になってしまうぞ!というところもあります。

ですから、うわーそういう間違っているのとか、甘受できない!絶対許せない!という方にはオススメ出来ません。ただもしかすると、抄訳では大幅に間違っているところをまるごとカットしていることも考えられますね。

まあ、現実と合っていないところは合っていない所で、当時はこう考えたのか!とか、こういう可能性もあったかもしれない!という感じで心を広く持って読むの推奨です!





以下、感想!






膨大な知識!


冒頭第1章から圧倒される実にリアルな情報の羅列! 胸が熱くなりました!! まるで本当にこの事件があったかのようだ。どこからがリアルの事実で、どっからが虚構なのかが分からない。百年前の海外の船舶事情のことだからなおのこと分からない、ほんとにわからない。そして分からなすぎて疲れる(笑) この時点で読み手を選びます(笑)

新たな海域に行くたびに教授は海洋生物を記録しており、それがまた「本当に見てきたんだ!」というリアリティを加えてくれる効果があるのですが、しつこいくらい長いのですよね。長いんだけど、この位長くないとリアルじゃない、という気持ちもわかる。っていうかこんなに沢山調べて書くの、本当に大変だっただろう!!!と、想像するだけでもう・・ギニャアア!って言いたくなった。この人はほんとに完璧主義なんだな、というか、この人実際好きなんだな、博物学が!
生物学だけではなく、地質学、海洋学、歴史、経済、文化、実に様々、本当にスキがないほどのリアリティ、知識にうめつくされています。それが現代の学問に照らして古いとか誤っているとかいうことは些細な事です。

こんなにリアルに自然に客観的に描かれているSFがあるのです! 現代の奇想天外なサイエンスフィクションと違って、地球の未知を科学的に想像しているところが、今の私達にはむしろ新しい気がします。例えば氷に閉じ込められる場面、すでに我々がTVなどでよく見ている氷山についての出来事ですが、その中に反射する強烈な光がどんな風に見えるのかを描いたら、現代の我々にも新鮮で夢に溢れた劇的なシーンになるのです。
地球には、まだまだ、有り余るほど、サイエンスフィクションの活躍することができる想像の余地があふれているのですね。



物語


「人間ドラマ的な要素・物語的起伏が少なく、淡々と進んでいく」という評があって、そうか、そう言われればそうなのか。と、今更思う。
「起伏がなく淡々と」と感じる人は、「未知の世界への驚き」が起伏と感じないのでしょうね。それが単に背景描写にしか見えないのだろう。アロナックス教授と共に自然に驚嘆し、美しさに感動していれば、そんなに退屈な旅ではありません。むしろ毎回どんだけっていうほど劇的な展開の連続に思えます。
もうそのへんは科学小説がスキかどうか…っていうことじゃないかな。つまり、そうだな~ 自然科学雑誌とか古生物や宇宙が好きだという方にオススメなんだな

かといって全然人間ドラマが無いわけじゃあないと思うんですよ…?



キャラクター


このサイエンスフィクション要素だけでも十分濃厚なのに、キャラクターがとても愛らしい!!!!!!ことに私は感動しました。 以前読んだ時にはそれほどそう思わなかったのかな、忘れてしまっていたみたいなのですが、今回読んで、本当にみんな可愛くて大好きだ!って思いました。

アロナックス教授は、科学ロマンにあふれて知的欲求に駆り立てられちゃう人だけど、じつは一番小心者で常識人で、たまにドハデなボケをかますところがカワイイ人。

コンセイユは、果てしなくクールなボケキャラ。でも心優しく皆を見守っていて、むしろアロナックス教授よりも懐が深い 器がでかい。実際、教授はコンセイユにいつも救われているのだと思います。

ネッド親方は、ある意味一番普通なリアリストで、平和で知的ボケの二人に、人間らしいツッコミを入れられそうな海の男。食欲!殺戮!望郷!怒り!歓び!そして真心。ネッドの素直な感情に読者も揺れ動きます。

主要キャラはたったの3人!とネモ船長だけ…実に少ない。確かに人間関係云々いうひとには物足りないのかもしれないが、私はこのたった3人だからこそ読みやすいし、全員可愛いので文句なしだ!!

教授がサメに怯えまくってキョドるシーンは爆笑した!コンセイユが感電してまで分類するところはギャグ漫画並の名シーンだとおもいます。ネッドが身を呈して教授を助けたのに、いいんですよと言うだけのあのシーンは美しくて涙が出そうだった…。
こんなにユニークで楽しいキャラが揃っているのです。ネモ船長だけじゃないんだよ!!


ネモ船長


ネモ船長は、歴史に残る名キャラクターだ、と改めて思いました。
圧倒的な存在感。スキのない質量とリアリティ。最先端を超える超技術と超科学、それを現実にできる超経済力!だけではなく、近寄りがたい厳しさと冷たさ、聡明さ、強靭さ、屈強さ。壮絶な怒りと悲しみ、憎しみ、大いなる嘆き、高潔な理想と破壊の力! そこに芸術性、弱き者を助ける慈悲をも持ち合わせている。
もう完璧だ、なのに更に最強の要素を持っている!!!
謎!!!
その正体は謎に包まれているという最強スキルを!!
完璧です、完全です、永遠です、ネモ船長…。

ネモ船長だけでご飯5杯いけます的なキャラクターです、萌じゃないよ?燃えだよバーニン!
まさに深海に沈んだ海神神殿のような荘厳さ。
計り知れない闇、それでいて深すぎる人間の情。
涙止められぬ熱い感情を抱いたままで冷たい海に沈んでいく男。
すべてのシーンでネモ船長はかっこよすぎます。

ネモ船長を知らないのは人生で一つ燃え的な損をしているぞ。
熱くキャラを語るのがスキなアナタは、是非この本物のネモ船長に触れてください。
その後色んな人がモチーフにしたり、リメイクしたくなった理由がわかります。



でずにーしーで…


センター・オブ・ジ・アースで並んでいる間…ネモ船長のお部屋?らしいのが見れたり、ネモ船長のアナウンスが有ったりして私は、私は…当時 一人で興奮していたのだが、周りに作品を読んでいる人がいなかったため、実に一人寂しく興奮するしかなかったのです。
ヴォルケイニア・レストランで、ネモ船長が中華料理を振舞ってくれるとか、そんなバカな! なぜ中華! なぜ豚肉!ハッまさか豚肉ではなく海洋哺乳類の肉などか?! などなど

海底2万マイルを読むと、新たなる興奮がアナタを待っています。興奮というか、突っ込みどころ、とも言える。そこがいい。





続編?だという同ヴェルヌ作の『神秘の島』も、ぜひとも読もうと思います。しかしこれまたものすごい長いようだなあ。うん、でも大丈夫、私… ヴェルヌさんの作品は大好きですヨオオオオ!!!


4488517048海底二万里 (創元SF文庫)
ジュール・ヴェルヌ 荒川 浩充
東京創元社 1977-04-22

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先日、大変有名な十五少年漂流記も読みました。冒険とはこのようなことを言うのだな!と、深く思い知りました。冒険とは衣食住である。探検とは地図を描くことである。胸が踊るのはこういうことなのですね!





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