[感想]シャーロック・ホームズの冒険 (角川文庫)

4042501109シャーロック・ホームズの冒険 (角川文庫)
コナン・ドイル えすと えむ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-25

by G-Tools

石田 文子 訳




新スタートレックを見ていたら、データ少佐があまりにもホームズにハマっているもんだから、やっぱり一度ホームズってやつを読んでみないとと思ってた。

前々から、ホームズはほんとに有名だし様々な作品に影響を与えているし、読んでみるべきかとは思ってたけど、私は「探偵物」ってやつに常に不審と抵抗を抱いていたのでなかなか読む気にならなかったのです。
でも中古本で安かったから この機に読んでみた。


結論。
やっぱすげえ。すげえキャラが良い。

おそらく‥古今東西のキャラクターのうちでもベスト10に入るであろう、魅力的なキャラクターだ

っていうか萌えキャラ



続きは追記






ああ・・・やっぱりおもしろかった


前述のとおり私は探偵物は避けてきたんですが、読んでみて、やっぱ面白かった。
やっぱり有名なだけあるわ‥私の敗北です。

とにかくホームズがかっこいい変態です。その話はあとにだらだら書いてるけどまあとにかく、ホントは原作読んだことないんだ‥という人はぜひ読んでみてください。人気があるのはもちろん知っていたけどまさかこれほど魅力的なキャラクターだとは知らなかったです。ほんとうに驚きました‥。読んでる人からしたら今更なことかもしれないけど、本当に凄いキャラクターだ。

この本は短篇集なので、短編ばかりで、すごくスムーズに読めます。無駄にだらだらと長い話がなく、奇妙な事件の真相が明かされてサッと終わる感じがとても洒落ていて余韻が残って良いです。
事件も、殺人事件ばかりではなく、盗難事件や失踪やいろいろなものがあってバラエティが豊か!
世のシリーズ探偵物ももっと 殺人じゃない事件もよくやるべきだと思います。特に、凶悪犯罪の絡むものでも、ホームズのもとに持ち込まれる「事件のきっかけ」は凶悪犯罪から始まるのではないものが多く、そこが上品でトリッキーです。


ハンサムで読みやすい現代語訳


この本は2010年発刊なんですね。だからだいぶ現代的な訳なんだね。
とても読みやすいです。ホームズとワトソンのやりとりも軽快で、若々しくハンサムです。
表紙のイラストも、驚くほどハンサムです(笑) いいことだ。

これを読む前に、SHERLOCKの1話だけ見ていたので、ホームズは変態イケメンという先入観が多少ありましたが、そのイメージどおりの印象で読めました
わたしみたいに初めて読む方にもおすすめだと思います


どの話が面白かったか


正直どれも面白かった。どれも ツマランとはまったく思わなかった。特にこれがすごく!!!というのは思い浮かばないけど、それは全部面白かったからです。あと、あまりに読みやすくて1~2日くらいで一気に読んでしまったせいもあります。
ただ、とても有名な傑作と言われる短編についても、さほど突出して衝撃は受けなかったのは もしかしたら他の作品に引用されたりしていて、知らぬうちに触れているせいなのだろうか? わからないけど。まあでもおもしろかったけど。







以下私のくだらない話










探偵物それはキャラ萌えではないのかい?


私は常々 平和な社会にやたらと殺人が勃発しまくる探偵物というジャンルに抵抗感を抱いてきました。なぜそうあちこちで殺人が起こるのかしかも冷静で論理的な犯人ばかり。そんなの非現実的だし、作者の横暴だ、ご都合すぎる。死ぬ人にも殺す人にももっとリアリティがほしいし、それなら人を殺さなくても書けるだろう。人が殺されて物語が始まるというのが雛型となっているのはいったいどうなんだろう、それでいいのか?と。そしてなぜそれが現代小説において一般的なジャンルとなっているんだろうか!
疑問を抱きつつも私はそういう探偵物を軽視し続け、読むことを避けてきました。
でも、考えてはいた。探偵・刑事物ドラマの流行のニュースを見ながら考えていた。
なぜ、人が死ななければならないのか、なぜ探偵物が流行るのか。

私の仮説はこうです。
それは現代劇における英雄譚だから。現代において戦争的な場面は想定しづらいし、そういう英雄は罪人ともなりえる。現代における英雄を表すためには、知的な勇敢さが求められる。英雄的主人公の知性を表現するためには、知的な試練が必要だ。現代における知的な試練が連続する設定‥そこで謎を解決する探偵が主人公になる。 また、なぜ人が死ぬのか。死んだら証言できないため、謎が難解になり、主人公がより活躍するから。また、連載するにあたって、雛型が作りやすく量産しやすいからだろう。 つまり主人公は知性にあふれる英雄で、つきつめればその主人公のかっこ良さを描きたいってことなんだろう。(そうでない場合もあると思います、純粋にトリックのパズルを描きたいとか、殺人を引き起こした複雑な人間関係を詳細に描きたいとかも、でもやっぱり基本的には探偵のキャラクターを立てる話が多いと思う)

ホームズを初めて読んで、私の意見は多少あたってたと思いました。

とにかくシャーロック・ホームズは 非常に魅力的なキャラクターだ!
推理とかトリックとか事件の不思議さとかも確かにおもしろいけど、
やっぱり一番のポイントはシャーロック・ホームズが魅力的ってことに尽きる

あとがきにもそう書いてあったよ。トリックは素朴で矛盾もあるけど、やっぱりキャラクターが魅力的だから長年愛されたのだろうと。


それにしたってこれはもう100年以上まえの作品なんですよね?
まったく、そうとは思えないほど洗練された魅力的なキャラクターです。
というか、ホームズ以降の探偵で、ホームズを超えるキャラクターがいるんだろうか?
いや、いないに違いない‥と思います。

ほんとによく、彼の個性が描かれてる。能力は探偵としては本当に完璧でむしろそれ以上の様々の超絶能力も兼ね備えている無敵の天才的人物だけど、その分だけ異常なところ、欠けているところも よく描かれているところがほんとうに素晴らしいです。
ひたすら強い完璧な英雄というのがいる物語がしばしばありますが、その分欠けているところが描かれていない人物は 嘘っぽすぎて真の魅力に欠ける。
でもホームズは違う、すごく冷静に愛情深く、その欠点や悪癖、異様な行動、生活スタイルまで描かれている。この、第三者的な、しかし好奇心に満ち満ちたワトスンによる描写が、100年以上後の我々から見ても全く古臭くなくて現代に即している。科学的な感じさえする分析で ホームズという ものすごく奇妙な人間を描いている!

ホームズは、変態的な天才奇人。まばらな精神。

現代のほとんどすべての物語の英雄的探偵にホームズの欠片があるのだろうとおもいます。
どんな探偵を描いても、ホームズの出来損ないにしかなりそうもない
というほど、素晴らしい、圧倒的な萌えキャラではないでしょうか。
勝てる気がしない。




ネモ船長 VS シャーロック・ホームズ


先日改めて海底2万マイルを読んだ私は、ネモ船長は古今東西でも最強クラスの燃えキャラだな!!!と思った。
しかしこのホームズも、古今東西最強クラスの萌えキャラだと思った。
萌と燃で少々ニュアンスが違うけどまあとにかく魅力的です。

でも私はホームズのほうに少し違和感を感じます。
ネモ船長を描く作者の心理はわかる気がする。船長は、作者の嘆きと理想を代弁する存在なので、空想の中の荘厳なキャラクターなのです。だから非常に無敵で魅力的なのがわかる。
しかし、ホームズは理想の代弁者ではない。すごく魅力的だけど非常にダメなところがある、そこには作者の願いがあんまりない気がするんです。作者の願いではないのに非常に魅力的であることを作者が認めているのを感じる。私が作者なら、ここまで好意的にホームズを作中で評することができそうもない。ここまで魅力的なキャラクターとして書くには少々恥ずかしさが出てしまうな、と思います。しかし出てない。
ホームズは、作者が実在のモデルをもとに描いているんだろうなと感じました。作者はモデルの人物のすごい才能と奇妙な部分の両方を、ワトソンと同じように好奇心と愛情を持って見つめているんだな。その面白さを描きたかったんだな。他人だから書けたんだなと思うのです。

だから‥この二人は全く違うキャラクターだなと思います。
じっさい、その目的の方向性も全然まったく違うんだけどね。
どっちも最高だとおもう。これからもなかなかこれを超えるキャラはいないだろうと思う。


実際ネモ船長とホームズが対決したらどうなりますかね。
ホームズは不思議大好きっ子なので、ノーチラス号のナゾの噂を知ったら追っかけてきそうです(笑)世間を騒がせたあの謎の生物のニュースを見ただけでも現場に渡ってくるだろう(笑)
まあでも‥ネモ船長の財力と科学力はもう(当時の)現代の常識をはるかに超えているので‥いかにホームズと言えどなかなか追いかけるのは難しそうだ、現実的には。もしかしてその正体を推理することはできるかもだけど、ノーチラス号をつかまえるのは難しそうです。でも、アロナックス教授のような立場に彼がなったとしたら、ネモ船長の正体をかなり早く知ることができただろうなと思います。うーん、でもネモ船長の正体を知ったら、かなり命の危険にさらされると思う‥‥。あまり早くそれを知ったことがバレたら、非常に命が危ういです。
ということでネモ船長の攻撃力が高すぎるのでホームズはかなり厳しい、ただ頭脳戦では勝てる気がする。ってとこかな・・

くだらないことを考えてしまいました。
が、発行年は17年しか違わないからね。けっこうアリかもよ



4042501109シャーロック・ホームズの冒険 (角川文庫)
コナン・ドイル えすと えむ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-25

by G-Tools

石田 文子 訳

関連記事
スポンサーサイト
[感想]最後の将軍―徳川慶喜 | Home | [この1曲]祈りの彼方 - 志方あきこ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する