[感想]ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8)

4798830089ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8)
山田 正紀 北原 尚彦 フーゴ・ハル
創土社 2013-09-03

by G-Tools




あまそんで見ると

1つのクトゥルー作品をテーマに3人の作家が小説、ゲームブック、漫画などの様々な形で競作するオマージュ・アンソロジー・シリーズ。第3弾は『異次元の色彩』に捧げる。


とのこと

私はクトゥルーは名前知ってる程度で全然なのですが、なぜだかどうにもホームズ×オカルト・ホラー的なのは面白そうと思って買ってみました。

全体的には結構楽しめちゃいました、特にゲームブックが可愛くて…予想外に可愛くて…









概要


いずれも同じ「異次元の色彩」に対するオマージュなので、キーワードや登場するものが当然似通ってしまう。そのため、連続で読むと、微妙な気分になりました(笑) そのもともとのクトゥルーがお好きな人はそんなこともないのかもしれません。

でも状況についてはだいぶ異なるようになっているので、いいかな?
1作目は、非常に倒錯した世界観で、ホームズの世界観とは大きく異なる。
2作目は、筋としてはバスカヴィル家の犬をなぞっています。
3作目は、ワトソン君&警察官と共に超自然的殺人事件を探るゲームブック。

で、私の好みとしては1作目のほうが好きでした。ぶっ飛んだ設定や鋭く冷たい描写がSF映画のような映像を見せてくれます。これなかなか映像にしても面白いと思う。‥ん、残酷すぎてダメか?私はこの現代的で冷たく倒錯的な世界観は結構好み。

2作目のほうが意外と気色悪さでは1作目を優っています。なぜかわからないけど。でも全体にはバスカヴィル家の犬の筋をなぞるので、ホームズ正典の文章を覚えていると、かなりのスピードで端折られているという印象が強くてちょっと入り込めない。しばらく正典を読んでいない人は気にならないかもしれません。

3作目はゲームブックなので趣が異なります。コミカルなワトソン君と警察官の捜査っぷりにひたすら微笑ましくてもう、かわいい~!ってなりながら読んでた私(笑)楽しかったです。多少はもちろんクトゥルー要素があるのですが、あんまり気にならないかな。ゲームブックって読んだことなかったけど、すっごい可愛くて楽しかった(笑)なおホームズの出番は少ないですが、私的には不満もなくむしろ満足でした。期待してなかったのにすごい楽しかった


気味の悪い化け物が主役であろうから、いずれもホームズはまあ出番はそれほどでもないかな。でも全然ということもなくて、イロモノっぽいタイトルの印象よりは、ホームズ好きなだけの私のようなひともなかなかどちらも楽しめるかな。
ただ、まじめに推理モノなど期待するのは論外。あくまでオカルト・ホラーに本気出して読まないとだめですよ。ホームズとオカルトの組み合わせがダメな人はやっぱり楽しめないかも‥

というわけで、ホームズ×オカルト・ホラーという主題がなぜだか読みたいそんな方におすすめ
‥そんなにたくさんはいなそうですね







以下ネタバレあり感想









宇宙からの色の研究


非常に現代的で無機質な感じのする世界観がかっこよかった。頭から、とにかく倒錯的な設定がめまぐるしく連続し、途中なんてもうわけわからないくらいの大混乱になりそうで、途中で放置すると設定がわからなくなると思って、休まずに一気に読みました。それでもいまいち微妙に分かってない気がするけどまあいいか。
しょうじき、ジャックネタはもうホームズパスティーシュのお約束なの?というかんじであまり気乗りがしないのですが、このジャックもかっこよかったです☆ なんだかんだでヒーロー的で、SFヒーロー的じゃないですか。強いし。彼なりの美学で人類の味方に立ってくれるところなどは甲斐性あってかっこよかった。
そしてどこまでも冷徹で強いモリアーティ教授もかっこよかった。かっこいい。モリアーティ教授=かっこいい派になりつつあるな私は。とんでもない機銃を撃ちまくってくる教授ちょうかっこいいじゃないすか。あと、Mさんについての説明もかっこよかったですね。普通の次元じゃない的な。彼もすごくSFにいそうでした。
創作から囚われている‥という設定もなかなか夢があって面白く、本人からしたら最悪でも、持てるものの苦悩だ、むしろ本望だろと羨ましがる描写にもかなり同意!ってかもともとの例の、ドイルさんが訴えられてる件が、その後の大冒険で流されてたけど、あれはホームズファンとしては興味の尽きない議題だ。「私」が弁護したように、そんなに嫌いならこんなに魅力的に書けるだろうかというご意見はまさに私も常々思ってる。嬉しい。
それで最後の本家登場ですが、一瞬しか出てないのに この嬉しさたるや♪ 一瞬しか出てないのにネタが多くて。呪力をマスターしにいくとかわけわからんところもいい。そんなホームズもいい。必要となればそれも厭わないプロフェッショナル感がいい。 不思議だなぁ。正典ではほんとはそんなキャラじゃないと思うんだけど、最近パロディ類のせいか、単に冷徹なプロフェッショナルのイメージが、正典のイメージと別に存在するような。 そして一瞬の混迷で、君はワトソンじゃないのか?というのは最大の萌えどころですよね。コレはどういう意味なのか妄想するだけでもいけますね。
ホームズともあろうものが目の前にしてそんなことを聞くのだから、ジャックはいったい??という。
単に別人というほうが自然な気がするけど、あえて、実はワトソンくんは‥というのも妄想的に面白いじゃないですか。ホームズVSワトソンってのも見てみたいですよね。結構、きちんと勝負が成立しない気がする。だって負けそうなんだもん、ホームズが(笑) どんなにこの通りの連続殺人極悪人だろうとも妥協案を出してきそう(笑)
完全に別人だという場合でもそんなことをたずねたホームズに萌えます。もうひたすらずっと探していたに違いない。もう事件関係者で医者でというだけでもってくらい。なんでいないんだ状態。いいなあ。
あ、それで化け物どもや怪異もなかなかファンタジックな雰囲気が感じられて、不気味というよりもなんとなく美的な感じもした。ただ、クトゥルーには私はまったく詳しくないので、完全なイメージを頭に描けなくて苦戦してた。
最後にこれから大仕事だ!という展開で終わるのも私はなかなか良かったと思います。色々想像できて。これ以上長いと疲れるしダラダラになりそうだったし。


バスカビル家の怪魔


あまりにも筋が正典をなぞりすぎていて、かぶっているようなところが多く、かなり走り読みしてしまった。でも描写なんかは結構端折ってあって、そこが、雰囲気を似せているのかもしれないけどあんまり似ていないという感をUPさせてしまっていたようにおもいました。
重要なセリフや犯人などが真逆になっていて、なんとも言えない気分だった。ぜんぜん違う人物が犯人だったらありがたかった気がする‥と思いました。むずかしいけどね、人数少ないし。
ホームズとワトソンの活躍では、ホームズを撃ち殺しそうになって翌日の新聞の想像してるのが可愛かったですね~♪ そんな内容、むしろ萌えます(笑) でも終盤でついつい憎しみが生じてるあたりなどはこの話がまんざらでなくなりそうな気配を感じさせてもいるのか、むしろ、あそこらの狂気をもうちょっと描いてくれたらもっと萌えた。本気で殺しそうになるとか。
ホームズは実にクールな様子のままでオカルト?SF?をあっさり認めていて、その潔さが良かったです。ここでオカルトなんかないだのなんだの喚きだしたらひたすら混迷だし。異様と凄惨を極める血まみれの展開なのにホームズは完全にクールで冷たい表情のままなところが最高にかっこ良かったぜ。どんな化け物を前にしても、常にクールでちょっと嫌な顔してる程度で、判断も的確。カッコイイ! しかしなかなかワトソンさんもクールで、特に拳銃の腕前やら体力やら軍人らしいところがすごくかっこよかった☆
と、かっこよかったのだけども 1作目よりも気持ち悪さがけっこうあって、意外でした。解決してなそうな終わり方がよかったのか、バケモノがそれとも生物といろいろと関わりあっていたせいかな。想像しやすかったのかもしれない。
しかしベリルの行動は短絡的すぎるかんじであまり美しくない印象で‥特に挿絵のシーンの展開はあまりにもよくあるパターンで残念なかんじだった。



バーナム2世事件


ゲームブックっていうのを読んだことなかったんですが…どのゲームブックもそうだというわけではないだろうけど、このお話はとってもこう、不気味な事件を扱っている割にコミカルな雰囲気でとにかく一言で言うと可愛い!!
ホームズが他の事件で忙しいから、ワトソン君が、助けを求めてきた警察官(なんとイレギュラーズ卒業生!)と一緒に現場に出かけて色々捜査をします。その捜査を読んで追いかける内容です。ので基本的にホームズがいません。
まず最初の見取り図を見ただけで殺害方法はほとんどわかったんですけども、「証拠」がどこかに残っているのかと探しまわって結局なかった…(笑) っていうかなぜか私は【執事】をみつけることができずに、途方に暮れてしまった>< 最初からずっと探していたのに…。犯人とか動機もわかったんだけど、執事に連なる連中の話が見つけられず、物の在り処が分からずじまいだった。なんども急いで見なおしたけど執事へのルートがどこにあったのかわからなかった。ついつい慌てて読んだせいかな~。かなり急いで読んでたからなあ。(※『P272下段「執事バレット(5)」→(40)の間違いなんです』 とのことです! この記事のコメントご参照ください

まあ、攻略の下手くそさはともかく、ハズレルートもすっごい可愛くてね~!! 「あ~失敗したなあ…」「無駄足だったね…」「なんじゃこりゃ?」「困ったなあ」とかなっているワトソン君とマロウン君がめちゃ可愛かった☆ ニヤニヤしながら読んでた、ほんとかわいい。まさにゲームをやっている感じだった。ああそう、逆転裁判とかやってるかんじだったね。下らないものを調べてしまった…みたいな(笑) このコミカルなノリがすっごいツボだった。

そして最後にホームズとの答え合わせは、予想通りだったんだけども、その後にちゃんとオチがついてて わ~い♪ってなったねえ~! 最後にホームズとお出かけ出来てすごい嬉しかったわたし(笑)わーいホームズと一緒♪♪ 不気味な真の敵について、もう全てを把握していてクールなホームズの横顔に惚れ惚れする。隣で見ている感じがした。ああホームズ!いつも頼りになるホームズ!! このお話でホームズはほとんど出番がなかったけど、もったいぶった芝居がかった言い方とか一人で何もかも知っている感じとか、いなかったくせにいつのまにか全て調べあげてるところとか、すごくイメージ通りで大好きです♪
その他の登場人物たちも全体にコミカルな雰囲気でとっても面白かった。
ほとんど期待してなかったのにすごい楽しかった ごちそうさまでした!





4798830089ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8)
山田 正紀 北原 尚彦 フーゴ・ハル
創土社 2013-09-03

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コメント

執事のナゾ

すみませーん、P272下段「執事バレット(5)」→(40)の間違いなんです、土下座。

2014/02/07 (Fri) 13:28 | HUGO HALL #- | URL | 編集
Re: 執事のナゾ

HUGO HALLさん>

> すみませーん、P272下段「執事バレット(5)」→(40)の間違いなんです、土下座。

ええっ!!?! HUGO HALLさん?!!?!
わあ、わざわざ教えてくださってありがとうございます>///<
ほんとに とても楽しかったです!!!

2014/02/07 (Fri) 13:43 | KMOK #WlAMjTRI | URL | 編集

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