[感想]地底旅行 (岩波文庫)

4003256921地底旅行 (岩波文庫)
ジュール・ヴェルヌ 朝比奈 弘治
岩波書店 1997-02-17

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ヴェルヌさんはもっと読みたいと思ってたのに読むのが遅くなってしまった地底旅行。

かなりユーモラスな人物と筆致で気楽に読めました。
海底二万里のあの重苦しさと比べると別人クラスに読みやすいです。
この本は挿絵もびっくりするほど多く、ページ数が多い割にページあたり文字数が少なかったです。





地球の中心へ!


原題は「地球の中心への旅」ってことで‥地球の中心やばいですね重力とか熱とかほんとヤバイですね死にますねっていうか死ぬからイーヤーダー!!!っていう語り手のアクセル君が伯父さんのリーデンブロック教授言ったら聞かない猪突猛進の科学の狂人リーデンブロック教授に引きずられてアイスランドから地底へ潜っていく話です。

アクセル君がほんとに逃げ腰で、イヤダーイヤダーって未練タラタラなので、おかげで、あんまり真面目になりすぎずに要られて読んでても気楽な雰囲気があり、非科学的な展開も常に懐疑的に語られていて面白い効果を生み出しています。災難だったとしか言い様がないけどな‥アクセル君。
教授も、忠実な同行者ハンスも、アクセル君が皮肉やユーモアを交えて語るので毎度吹き出してしまう面白さがあります。何度も笑った。


ハンス!


そうは言っても、私としては一番好きなのはやっぱりいちばん頼りになるハンスです!! 頼りになる旅の同行者というのはいろんな物語に出てくるだろうけど、彼ほどの忠実さと沈着さと素晴らしい能力を持っている男はなかなかいないだろう!!
コンセイユは忠実で冷静で優しくて素晴らしい付き人だったけど、ネッドも強靭で頼れる男だったけど、それを足しあわせたよりも頼りになりそうなケワタガモ猟師ハンス!! ハンスさえいればどこに行っても生きて帰れると思わないか。アクセル君からすると言葉も通じない上に、表情もほとんどなく、しかも話してるのもいつも一言くらいだけという、頑強なロボットみたいなかっこよさ。ハンス最強。
ところで挿絵のせいなのか私にはなぜか、エルシャダイのイーノック、としか思えなかったのだった。イーノックが黙々とついてきてくれると思ったら無敵です。


地底の世界


帰途の怒涛の展開がクライマックスと言うのかもしれないが、筏に乗ってあの展開はなかなか想像を絶するものがあったので、私は地底航海のあたりが一番夢があって感動しました。悲しいほどの電気の光に満ちている世界、なんと不思議で夢があるんだ!!!!! しかし、目が退化した魚しか釣れず葉緑素もない植物・キノコ類しか生えてなくて魚竜や恐竜や巨人とかはどういう視覚を‥気になるな。
でも冷静に思い返すと、暗闇の恐怖、あの嵐と電気の火の玉の恐怖、そして最後の展開と言い、いや、普通に何回死んでるかわからない恐るべき展開の連続でした‥何ヶ月ぶんもの食料とか荷物も相当の量があっただろうによく頑張ったなあ。あと、インクみたいな味のするおいしい水!!お腹大丈夫だったのかな‥とかさすがに思った。そこらへんもとても面白かった。

やはり大混乱するのはその地球の熱とかマントルとか核とか磁場とか云々のとんでもない理論が提示されるところだった。確かに、アクセル君はあくまで主流の理論を曲げる気無しで、気のせいだとか特殊条件とかいろいろおっしゃるんだけど、やっぱり小説中ではリーデンブロック説のほうが正しいような雰囲気なので、頭のなかで統合できずに混乱します。しなくていいんだけど混乱します。

結局中心まで行けなかったことも混乱のまま終わった感じが残念だった。ページ数的にも、体力的にも食料的にもその他もろもろ無理だなコレは?と思ったけどさぁ。行ってみたかったなぁー中心‥。でもあの地点で摂氏30度超えてたからあれより下はどうなってたんだろう。
サクヌッセンム!アルネ・サクヌッセンム!!偉大なる旅人よ!


拡大解釈


あとがき読んだら、これは一種精神世界への探検なのだ的なすごい哲学的な拡大解釈に触れられてて驚いた。私は全くそんなことは思わずに読んだし、今思い返してもさすがにそこまではないんじゃないかと思うけどな、でもそんな風に読めるってのは面白いですね。
確かに、アクセル君が迷ってしまうところは、ものすごい絶望と恐怖の体験で、凄いなとは思いましたね!それに、岩を爆破したのに海ごと流れ込んだりという悪夢的な展開も、現実的な冒険物語の範疇を超えるものがありました。海に満ちる光も、その他もろもろ確かにちょっと幻想的な様子があるので、そういうふうに考えられなくもないのかもしれないね。
でもグラウベンのことは‥ わたしはどうしても、失われた世界(ドイル)のマローンくんのことを思い出してねえ‥あのオチを思い出しちゃってねえ‥だってほとんど同じようなこと言ってるからさ‥。そんなに象徴的意味合いがある気はどうしてもしなかったです。ハッピーエンドでよかったですねアクセル君は。 なお、失われた世界は1912年で、地底旅行は1862年!! 50年も開きがあるんですね!! 結構似たようなネタでもあり、キャラの構成もやや似てるし、これはヴェルヌさんのほうが時代的にもウワテなのかなとも思います。あっちは熱帯で、こっちは寒冷地でしたけど。アイスランドの旅も素敵だった‥。


ヴェルヌさんの本、やっぱりもっと読もうと思いました!さいこう!


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