[雑談]シューマンもえ

4003350219音楽と音楽家 (岩波文庫 青 502-1)
シューマン 吉田 秀和
岩波書店 1958-07-25

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シューマン…といえば…むしろあまり知らない、
はっきり言って、トロイメライしか知らない。

だった私が何故かシューマンもえがバーニンになっている今現在。
だってシューマン、萌えキャラ…
などというと失礼ですが、いやいや、Wikipedia読んでみてくださいよ
なんかこう、すごく!! おいしい

クラシックの音楽家たちは、いろんな逸話やロマンチックな話があって
どれもこれもなぜだか想像力がそそられますけども、
シューマンは特になんだか、いいやつだなあというかおいしいというか!






フロレスタンとオイゼビウス


基本的に私は音楽をはじめ大概の芸術は、作者と切り離して鑑賞して、作者のことは興味が無いのですが、珍しくシューマンは音楽よりも作者萌といいますか(笑) というか、シューマンは「音楽」のみではなくて、半分、詩人で文学の人なんだね、そのせいかな!
特にですね、音楽批評を書いてたそうですが、その批評には自分の意見にそれぞれキャラクターを当てた「ダヴィッド同盟」というのが登場し、特に自分の分身としてフロレスタンとオイゼビウスという二人の人物が出てくるのだそうです。なんと面白い!じゃないですかああ!革新を目指し突き進む激情的な理想家フロレスタンと、詩的で繊細な心優しい夢想家オイゼビウス。二人はやや意見が対立する傾向があるけど、いずれ理想主義的で輝かしい未来を夢見ながら古くて閉鎖的な現在に対抗していくのです、それも咏うように美しい言葉で。更に二人のまとめ役「ラロ先生」なんてのも登場したり…面白い…面白いですシューマン。二人の自分、というのがシューマンの分裂症のあらわれだとも言うそうですがそれはそれでなおさらに美味しいです…。なお、彼らの活躍は、上の岩波文庫の本で読むことができます。

二人がベートーヴェンの第九番について話しているシーンが忘れがたいのですが、オイゼビウスは感動のあまり茫然自失気味に、「ベートーヴェン…なんという名前だろう…その名にはどんな文字も付け足せない気がする」的なことを言っちゃう。音楽の話なのに名前関係ないじゃん!ベートーヴェンだって名前を自分でつけたわけじゃないですし!ですが、名前まで神聖に思えるほどにベートーヴェンを崇敬しているわけですね。なんという感動屋なんだろうシューマンは、大げさで、感性がブルブル震えてて言葉が溢れだしているんだな!って、私は萌…いや、カンドーしました。もう、そんなシューマンが好きです!
ショパンに感電レベルで感動してもう想像力が大爆発している話は、Wikipedia(ラ・チ・ダレム変奏曲)によれば、ショパンに「このドイツ人の批評笑えるわ」と思いっきりヒかれたらしいし(笑) でもすごく分かる、その気持。「見える、見えるぞォォ音楽に、見えるんだ!」と、自分の想像力の世界であははうふふになっちゃってるのですね。ほんとにシューマンは無邪気に文学的想像力の人なんだと思う。だからロマン派の中のロマン派と言うわけだ。

上の本では、ショパンへの賞賛、ベートーヴェン崇拝やら、すっごく長いベルリオーズの幻想交響曲の解説とかのほかにも格言的なものとかもたくさん入ってて、音楽やらない自分でも参考になります。訳のせいか、元の文章のせいか、ちょっとむずかしくて意味がわかりにくいけど、あの有名なシューマンの言葉が今もこんなに読めるかと思うと嬉しいです。
あ、バッハに対する永久無限の尊敬にはいたく共感しました。バッハ様は永遠!やっぱりシューマンの時代からそう思ってたんだ。


シューマンの音楽


しかし、シューマンの音楽は、これはっ!と思うほどビビッと来るのは個人的にはあんまりなくて(笑)
トロイメライは知ってたしなかなかいいと思ってはいたけど実は、トロイメライのどこが好きかと言われますと、音楽に相まってむしろ音楽以上に、その曲想「時々あなたは子供に思えます」が美しすぎるということだったりしていた。むしろその言葉が詩的に美しい…。

たまたま持ってたパピヨンをかなり聞いてみたけど、これも、ベースにどういうモチーフがあるのか知らないで聞いてたら、あんまり印象に残らなかったのですが、いろいろ調べてみて、「生意気盛り(ジャン・パウル作)」というお話がベースだ、そのお話はこういうわけで…というのを知ってからは愛着がわきました。さらに、ヴァルトのテーマが後の作品でフロレスタンのテーマにつかわれてるということから、ヴァルトとヴルトがフロレスタンとオイゼビウスの原型なのか、美しく自由で理想家のヴァルトに対する憧れと、不器用でも心優しいヴルトに対する慈しみ、その素直で純粋な解釈、そしてどちらも自分の中にあると感じるシューマンの純粋さ、燃える理想と希望がなんとも愛しいのです。

全部聞いたわけじゃあないし私は音楽は門外漢…門外女だから断じることはできないですが、今のところ聞いたぶんではシューマンの音楽はなんだかあんまり暗くなりきらないなと感じる。ベートーヴェンを尊敬してる割にベートーヴェンのように心の奥深く暗闇を見透かそうとするほどには暗くなくて、なんだかいつも踊ってる? 怒ってても理想のために怒ってるし、沈んでても夢見てるし、感情が爆発してて妙に鮮やかだ。でも、メロディがすんなり頭に入ってこないで、いつもクルッと回ったり向きを変えたり、ステップでずらしたりして、踊ってる。一本のまっすぐな道筋が見えないで、散漫というか…。おかげで聴きにくい。ベートーヴェンのように太くて力強い道ではなくて、あっちこっち。ピアノ曲は短いのが多いせいかもしれないけども、一曲の中でもなんだか、不動の芯というのがあんまり感じられなくて、踊る芯のような。それが特徴といえば、それはそれで、シューマンという人のイメージをふくらませていけば愛着が感じられてくるんですが、他の作曲家のように、聞いた途端に「これだ!」というのがあんまりないです。

しかしイメージを膨らまして聴くと、謝肉祭やダヴィッド同盟舞曲集はすごく楽しいです。ダヴィッド同盟舞曲集はこの曲の傾向はフロレスタン(F)かオイゼビウス(E)かということが書いてあって、なるほど二人の性格が曲を聞くことでよく分かる。シューマンの曲を全部FかEに分けたくなる(雰囲気だけでだいたいは分けられそうな気がする)。 謝肉祭は、キアリーナやショパンの描き方がとても微笑ましい。ショパンなんて、シューマンによるショパンの肖像画、ニヨニヨしてしまう、似てるなんか似てる、でもショパンじゃないなコレという…私はショパンはそれほど好きじゃないんで、シューマンによるショパンのほうがむしろちょっと華麗さ控えめで好きかなと思う(笑) 特に長い「フィリステンと戦うダビッド同盟の行進」は、シューマンの晴れやかな希望に満ちて、行進のくせに踊るように笑みを振りまいて歩いてて、それでいて誇らしく、なんともこう…光景が好きです。
キャラクターを暗示するような音楽の書き方が好きなんだな、そういう、文学的な音楽の捉え方をするシューマンが、なんとも言えず愛しいのです。

私は音楽は演奏とかできないし楽譜も読めないし音楽史もほぼ勉強しなかったしサッパリ知らなかったけど、音楽って絵画と同じように革新を目指して常に新しい表現を目指してきたんですね。でも、新しいものを目指してわかりにくくなったり、頭で考えないと理解できなかったりするものになってもいるような気がします。私は音楽ってやっぱ、本能的なもので、至高の音楽は聞いてその瞬間に、以前から知っていた如く耳に馴染み口ずさみたくなる旋律や、体が自然に動くリズムなのではないかと思ってるんだけど…、シューマンのように詩的なイメージと音楽の暗示的リンクというのも、ある意味では素敵な気もする。描写ではなくて、イメージがリンクするという、まさに詩のような、ひとつの言葉でその裏にある情景を象徴するような。そういうのも奥ゆかしく心豊かな趣向なのかもしれないな。


いいひと…と思ってる


自分の感動を情熱に乗せて作曲家たちを紹介したり、解釈が心優しかったり、子供のための座右の銘集を書いてたり、とにかくシューマンさんは純粋でいい人で理想家でロマンチストでドリーマーだったのだろうなあと、勝手に妄想している。ちょっと激しすぎてみんなからヒかれたりしつつも。
冷たいまでに崇高な魂の哲学に潜っていくというよりも、心が喜ぶ彩り美しい夢を見て、胸から溢れ出る詩に喉を震わせる。シューマンさん、音楽家としても素晴らしかったんだろうけども、なんか、もっと詩をたくさん書いて欲しかったようにも思います。

シューマン本を図書館から借りようかと思ってるところです。面白そうなやつね?音楽が分からなくても読める系の。でもショパンとかに比べてあんまりないんじゃないですかシューマン。おっかしいな? シューマンほんと面白いじゃない。私だったら漫画とか小説の題材にするとかしたいですけどね。なんで少ないんだ? やっぱ音楽が微妙だから? 曲が有名じゃないのはやっぱり耳馴染みがいまいちだからじゃないかなと思うんだけども それはともかく、キャラ的には絶対おもしろいと思うんだけどな。かつてショパンを題材にしたゲームが有りましたよね、やってないけどね、サントラ持ってる(トラスティベル)。私だったらシューマンを題材に(以下略


↓ 「シューマンの指」というミステリ小説があったみたいですね。その小説に出てくるシューマンの曲がいっぱい入ったコンピみたいです。ミステリは正直興味ないですが(このデザインもなんかやだなあ…)、TTYのレンタルにあって、おかげでダヴィッド同盟舞曲集とか聴くことができました☆ どうもありがとうございます。


B004OUK23Mシューマンの指 音楽集
オムニバス(クラシック)
SMJ 2011-05-17

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