[感想]オズとドロシー

4835447689完訳 オズとドロシー 《オズの魔法使いシリーズ4》
ライマン・フランク・ボーム サカイノビー
復刊ドットコム 2012-01-25

by G-Tools



オズの秘密が明かされる!衝撃の第4巻!

って、すごい矛盾なんですけども。







地底世界大冒険


…ところで、ほんとにドロシーはいろいろ災害に見舞われてるなあ…(笑) ドロシーがなぜ災害に見舞われるのか、そしてなぜ必ず帰ることが出来るのか、妖精に目をつけられたとは?など、大人の深読み妄想を持ち込むのはむしろ品の無いことだと思いますので、 いいかい、ドロシーは不思議な運命を持ってるんだよ! みんなは地割れに飲み込まれちゃダメだぞ―っ
地底に落ちちゃう話は色いろあるようなきがする、そういえば、不思議の国のアリスも素敵なトンネルを落ちていく!あのトンネルの凄さも強烈に印象に残っています。しかし地底世界の奇抜さに関してはこれを上回るものはないのではというほど素晴らしい、オズ! 

まず最初の野菜人の国のガラスの都の美しさ…しかも生えてくる! すっげえ 生えてくるなんて!その発想はなかった…。つまり水晶だから、地底に生えてくるわけなんだねきっと。そんで美しい結晶の形になってるんだろうね。素晴らしい。野菜の女王が生えてるのも美しかったです。でも冷たくて感情がないのが残念だった。
 重力が弱くて空中を歩ける設定も、かつてないすごさを感じました。実際わたしのゲーム脳内に浮かんでるのは、空中ジャンプの図でしたけどね(笑)連続空中ジャンプで上の方に登っていけるアクションゲームの楽しさときたらありませんよねあの開放感。それが現実(本のなかだけど)になってるなんてさあ!!川に架ける橋もいらなくて空を歩いていける!すごい夢のようだ!すばらしい。
そして6つの太陽、つまり虹色の太陽…星形に配置されてるのか、ああ…なんともファンタジックで素晴らしい。すべてのものが、色セロハンを透過したような原色に照らされている世界は、これもまた子供の頃の感覚を呼び覚ます色彩体験。たしかに目がチカチカして、できれば別の世界に行きたくなるんですけども(笑) ほんとにこの野菜人の王国の設定はどれもこれも素晴らしかったです。

ボウの谷もすごかった。なんといってもですね、この上なく平和で美しい谷の風景のなかに、見えない魔物が潜んでいる。しかも、くま! なんか、くま!! くまさんって、童話の中では、いいやつのような、しかし危ない奴のような、実に微妙な立ち位置という気がしています。たぶんほんとは、日本語だからそう感じるだけで、原語では怖いクマの種類なんだろうな…きっと獰猛なイメージだけなんだろうなと思うんだけども、日本語ならではのふしぎな不気味さを感じました。
…それにしても、どんな格好をしていてもいいからラク!!というのは微妙に憧れました…。
熊は怖いけど行ってみたいところ。
地底となると光が問題になるけど、たしかこれも、ヴェルヌさんの地底旅行と同じで不思議な光が満ちている表現でしたよね。興味深いです

ガーゴイルの国にも衝撃を受けましたね…だって、ガーゴイルの国はすべてが木で出来てる!? 大地も木で出来てる、っていうことは、まるで部屋みたいじゃない!?と、私の脳内では不思議なイメージが展開しました。むしろ巨大な広大過ぎる部屋、深い色のピカピカのフローリングの、暗い部屋が地平の果てまで続いている…そんなイメージで、なんとも悪夢的で面白かった。ガーゴイルとの戦いは劣勢で大変でしたね。音だけで戦うのはやっぱり無理! 羽が取り外し可能というアイディアは痛快でした。

ちらっと見えた海とか、危険そうだけど意外と面白いドラゴンの子どもたちとか、地底世界はやっぱり全体的に黒っぽい色彩。でも、ワクワク感がいっぱいでした。あと、旗をはためかせる道具だか薬だか、というのはすげえ、と思いました、実際。風がなくて旗がションボリな時のガッカリ感は結構でかいですから、実は需要あると思います。


オズの再登場


ペテン師なんだけどねえ、そうはいっても、なんだか確かに会いたかった気がした。
しかし、二作目で完全に悪役扱いになってたのに、三作目でそうじゃないことになって、もうむちゃくちゃ。でもま、できたらこのじいさんにも幸せになってもらいたかったから、やっぱり悪役説を撤回してもらったのは、内心では嬉しかった。
改めて出てくると、ペテン師だけどけっこう頼りになる紳士なんだな~と、思いました。旅の仲間としては、普通に人間だし経験も豊富な人生の先輩だけに、最も常識的で頼れる人物だなあと思いました。ペテン師爺さんキャラなんていかにも人気なさそうなヴィジュアルなのに、どうも嫌いになれない、というかむしろ、すごく親しみが湧くのはなぜなのだろうなあ。
オズの国に永住してもいいと言われたオズが涙を浮かべるシーンには、なんとも切ないものを感じました。大人の悲哀がにじみ出ていて、大人ほど痛切な想いを感じるところです。こういうところを読むと、オズの国とは何なのか?というまた大人の無粋な妄想が暴走しそうになるから、だめだめ、禁止。とにかくオズは幸せにオズの国で暮らせてよかったと思う!


オズとオズマ姫の関係


やはり当時の読者もそうとう疑問に思ってたというわけですね。私も非常に疑問でした。血縁もないはずのオズの魔法使いと、オズの国とオズマ姫の関係。ついに明かされた秘密!しかしこれは結構苦しい言い訳を…(笑)
もうここまでの話と完全に大矛盾しまくって、つじつま合わせるのもめんどくさい、無理!っていう状態になっちゃいましたね(笑) 魔法使いの名前があだ名なのはいいとして… オズマ姫の経緯がもう時系列的にもグチャグチャなかんじで、ああ…やっぱり考えたくない、もういいや…。
でも、オズという言葉の意味とか、その女性形がオズマだというのはカッコイイ設定だな!と思いました。


ユリーカとジム


ユリーカ、ちょうかわいい名前出し、可愛い子猫だと思うのですが、あまりにもツンで、この可愛さは子供には到底理解できないですね(笑) 分かる気がする、子供の頃はこういうみんなの和を乱すキャラクターには頭を悩まされました、読者としても。でも大人が見ると、子供(とか猫)はこういう自分本位なところがまた可愛いのだよなあ、と思うんですよね。裁判はかわいそうにと思って見てたけど最後には、なんとまたユリーカにしてやられちまった、奴め、俺達を見て面白がってただけかっ!!ぬあーっ!! 高度すぎて再登場はしないキャラなのかなあ…と思ったけどどうなんでしょう

ジムとのこぎり馬の競争は、思ったとおりでしたね…。のこぎり馬は、あんな姿だけどかなりこう、なキャラクターでカッコイイですよねじつは。常に冷静だし、感情的にならず、どんと構えて、自分に自信があって揺らがない。COOL!! ジムとは対照的な馬物で、なかなかいいコンビのような気もします。二馬が助けあっていたらいいかんじじゃないですか。


4835447689完訳 オズとドロシー 《オズの魔法使いシリーズ4》
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