[感想]タイムマシン(角川文庫)

4042703062タイムマシン (角川文庫)
H.G. ウェルズ Herbert George Wells
角川書店 2002-06

by G-Tools




随分前に買ったのにやっと読み終わりました(笑)
思った以上に面白かった☆






タイムマシン


タイムマシンねえ~名前は聞いたことあったけど、映画とかも見たこと無いし、読んだことも勿論無いし。なんとなく今更クラシックな主題だし、なかなか手に取る機会がなかったわけですが… 例のあの本を読んでしまったからもうそりゃ読んでおかなきゃダメかなあとかテンションが上ってしまって古本が安かったからこの本を買ってしまったわけです。
ま、それはともかくとしてタイムマシン、面白かった! むしろ面白かった!! もともとSF大好きな私ですので、未来世界の姿にすごく興味がバリバリに惹かれました。この上なく美しくふんわかしたふしぎな天国みたいな世界の脆さと闇、ぞっとするところがあって、すごく面白かった。近頃の未来図ってディストピアが多いけど、このディストピアは、驚くべき進化と分化の果てに、むしろ後退した生物の世界が描かれていて、近頃のステレオタイプ的な「文明の荒廃」と全く異なっていて、すごく興味深かったです。そうだよなあ~そうだよなあ、それほどの未来に人類が同じ姿で同じような精神を持って住んでるとは限らないよなあ。
でもその未来のイメージの面白さだけじゃなくて、主人公の愛と冒険がものすごく身に迫ってきた。未来での孤独と共に大きくなるウィーナへの固執と愛情…。タイムトラベラーの愛には諦めや憐憫や色んな哀しみがこもってる、でもお互いすごく純粋な愛情で、この結末も切ないのに良かったような気さえしてしまう哀しさで、忘れがたい体験です。ウィーナの姿が目に浮かんでくるなあ、と思いました。で、その後画像検索で映画のイメージを見て、私のイメージとめっちゃ違うわあ!!となりました(笑)私のイメージでは実写が難しいけども…うーん、普通の人間じゃんこれじゃあ。
更にその後の未来の姿も!!とってもよかったなあ…不気味な赤い世界、謎の生物たち。それでも生命は終わらない。この旅は地球生命の賛歌でもあるのではないでしょうか。そういう広大さを感じました。
彼はどこへ行ったんだろうね。色んな時間を旅していてくれたらいいなと思うし、ウィーナに会いに行けたら幸せだろうなあ。なにしろ、彼があの旅を自分から切り離してしまわなかったことが嬉しかった気がします。


新神経促進剤


あのねーこれで一番言いたいのは、ほしいな…っていうことだよね。私も欲しいな…。早く売りだされないかなぁ…でもそしたらすごいお値段に違いないよなあ…時は金なり。時間をお金に換算した価格になるに違いない、貧乏人は手が出せない値段になるに違いない。
でもさ、その速度で文章を書いたりしたら、確実にペン先が発火して、せっかく書いたものも全部水の泡…というか炎の灰になっちまうんじゃないかなってすごく思った。
しかし本を読んだり文章を書いたりするのは、一定以上の速度で出来ずとても時間がかかるので、メッチャほしい、と私も思います!!あとは音楽を聞くのも時間がかかりますよね。でも音楽は早回しにしたらどうなんだろう…いや、感覚のスピード全体が上がってるみたいだったから、同じくらい高速な音楽じゃないとむしろちゃんと聞こえないのだな、え、そしたら逆に音楽聞けないじゃんむしろ聞けないじゃん。そんな早さでレコード回したらやっぱり発火するし、生演奏もそんな早さでやったらやっぱり発火するし、っていうか全部発火するんじゃないか…何もかも発火するんじゃないか、ダメじゃないか。
もうすこし薄めて速度2~5倍くらいにしたらちょうどいいのかな~? いや、っていうか筋肉とかにもすごい負担がかかっちゃうからやっぱり2~3倍にしておかないとダメなんじゃないかな。など、すごく妄想が進んで楽しいですね!!!


奇跡を起こせた男


このオチはやられましたねっ。あ~もっと奇跡起こして…残して…欲しかったな~…と思いましたね、まずは素晴らしい善行を行ってたから、あの調子でやってればなあ…まったく牧師さんがめちゃくちゃろくでもないことを思いついたのが悪いんだよな…なんでそんな馬鹿げたことをやろうとしちゃうんだか、舞い上がり過ぎ!というところが面白いですね(笑)


くぐり戸


最高傑作の呼び声も…とあとがきに書いてあったけどほんとにそう思った。ほんとに素晴らしいお話でした。なんといっても描写が美しいし、彼の気持ちの純粋さも、とっても美しい。でも、最後はやっぱりちょっと、くぐり戸のこちらがわに残された私達としてはちょっと切ない思いになるんですよね…。
今思い起こすとなんとなくポー様の作品に似た感じがしないでもないなあ。現実なのか幻想なのか分からないあたりが、私の大好きなウィリアム・ウィルソンなどを思いおこさせるのかな。でもそれとちがってこのお話はとっても綺麗です。向こうの世界の描写は今読んでるオズを思い起こさずに居られなかったです。



この本は全体的に訳の語り口も、妙にフレンドリーで面白かったです。


4042703062タイムマシン (角川文庫)
H.G. ウェルズ Herbert George Wells
角川書店 2002-06

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コメント

はじめまして

はじめまして!
ランキングからやってまりいました。

SFの文庫本「タイムマシン」というものがあるなんて知りませんでした。記事を読んでいてもSFのミステリーさがとても伝わります。
新神経促進剤は近い未来発売されると・・・おもしろそうですねw
私もSFが好きで少し前に観た映画だと「ダイバージェント」を観ましたが、中々おもしろかったですよ。

更新楽しみにしていますので、また遊びに来ます(^^)

2014/11/05 (Wed) 01:46 | モグろう@ギターでFF #- | URL | 編集

「タイムマシン」、私も昔読みましたよ〜。
ただ、内容をかなり忘れてる・・・新神経促進剤って何だ!?それらしきものを全く思い出せない(笑)とりあえず再読リストの最後尾に加えます。

角川文庫のその表紙は映画のやつですね!当時映画館で観てサントラも買いました。原作とは違うオチが個人的にあんまり好きじゃなかったように記憶してます。

2014/11/05 (Wed) 14:29 | みかん #- | URL | 編集
Re: はじめまして

モグろうさん

はじめまして!コメントいただきありがとうございます!
お返事遅くなってすみません

この本はブックオフで100円で買いました(笑)
こういう、もはや古典に近い存在になっている作品は
あんまり外れなくて私は好きです!

映画はあんまり見ないのでさっぱりわからないんですが、
ダイバージェントですね!覚えておいて、機会があったら
見てみたいと思います!

雑多な記事ばかり書いてる鈍足ブログですが、
気が向いたらぜひまたおいでください!
改めましてありがとうございました

2014/11/14 (Fri) 21:00 | KMOK #WlAMjTRI | URL | 編集
Re: タイトルなし

みかんさん

返事遅くなってすみません!
この表紙、映画のなんですね。映画が放映された頃に新装したやつなんでしょうかねー、個人的にはもっと普通な表紙のほうがよかったけど仕方ない、百円だったから…
映画はオチが違うんですか…原作わたし的には面白かったんで、違うオチはちょっとショックかも。というかビジュアルもイメージと違うかも…

新神経促進剤は、そんなに劇的に面白い話じゃないかもしれないけど私は欲しいッス…

2014/11/15 (Sat) 07:43 | KMOK #WlAMjTRI | URL | 編集
遅ればせながら

もはや定例となりつつ恐縮ですが、時機を逸したコメントをお許しください…。

文面の”例のあの本”に刺激され、再読を試みたのですが、
魅力ある名作である事、当方の記憶力が残念な事の二点を改めて認識させられました。
…新鮮な感動を味わう事ができて良かったです(泣)。

困難を完全に追放した先の未来描写はなかなかシビアでした。
”後述”で物語を語るタイムトラベラーは当事者でありながら傍観者でもありますね。

その為、物語の最中でも、俯瞰するかのような視点が、
ウィーナとの交流、大蟹や海、さらにその先の世界を捉えていたように感じました。
そして同時に、哀しい諦観を身に纏わせた要因でもある気がします。
タイムトラベラーの新たな旅路に幸あらんことを願います。

新神経促進剤は空気抵抗や音の伝達など、科学的に突っ込んだら負け! でしたね。
加速した分、キッチリ老化するのではないかと、夢のない心配をしてしまいした…。

奇跡を起こせた男は、小賢しさを突き抜けたマヌケさが愛おしくてGOOD!
ただ、いきなり見知らぬ土地へ飛ばされるような事態はご遠慮申し上げたいです。

くぐり戸は、誰もが持つ理想世界への憧れ(逃避?)が共感を生むのでしょうか。
人生に充実し、夢中な時期は、無用の長物に映るのかもしれませんね。
この物語を美しい、と感じている私は、つまり…あれ?

こちらも既に起こってしまった事実を語っていくスタイルの為か、
運命を受け入れたかのような、諦めにも似た静謐さが漂います。
最後にくぐり戸を抜けた際、彼の表情はどのようなものだったのでしょうか…。

表題作タイムマシンを含め、深海潜航やくぐり戸など、作品として
その後を、読み手の想像力に委ねる構成が多かったように思えます。

SF物は人類を特別視せず、その他事象と同様、突き放した視点で眺める事も多いですね。
その淡々とした無機質さが、痺れるような興奮をもたらしてくれたりもするのですが…。

今回も良質な時間を得ることができました。ありがとうございます。
そして懲りずに例のごとくな長文…失礼いたしました。

2014/11/30 (Sun) 21:30 | パトラッシュ #Uh60rX9Y | URL | 編集
Re: 遅ればせながら

パトラッシュさん>

いつもながらコメントありがとうございます!

例のあの本!! あの本への想いは未だにメラメラしております☆ タイムマシンも脳内キャスティングを例の彼にして妄想しながら読んでみました。なんでも演じられる人なので、脳内キャスティングできて面白いという!そんな誰にも通じないような根暗な楽しみ方をしています…フフフ…。暗い…。


> …新鮮な感動を味わう事ができて良かったです(泣)。

わかります…私も、え、一回読んだよな、何この記憶のなさ!ということは…レンタルコミックなどで、かぶって借りてしまったのに覚えてないショックをよく味わっています…。何度も楽しめてて良いということにすべきなのか…いや…そんな…


> その為、物語の最中でも、俯瞰するかのような視点が、
> ウィーナとの交流、大蟹や海、さらにその先の世界を捉えていたように感じました。
> そして同時に、哀しい諦観を身に纏わせた要因でもある気がします。

そうですよね、タイムトラベラーの視線は、過去から来たくせにすごく俯瞰的で…そこがなんともいえない切ない味わいを醸し出してて、他のタイムトラベルものにはなかなかない魅力のような感じがします。


> 新神経促進剤は空気抵抗や音の伝達など、科学的に突っ込んだら負け! でしたね。
> 加速した分、キッチリ老化するのではないかと、夢のない心配をしてしまいした…。

やばい、ひとより老化するのはイヤー!!すごく早く動く小さな生物の寿命短いアレ的な…そうですよね、それ確実に老化しますね。ぎゃー!!
あんまり物理的なことを細かく考えていくと頭がおかしくなりますね、これは(笑)
でもそういうところがくだらな面白い(笑)


> 奇跡を起こせた男は、小賢しさを突き抜けたマヌケさが愛おしくてGOOD!
> ただ、いきなり見知らぬ土地へ飛ばされるような事態はご遠慮申し上げたいです。

いやほんとあの浮かれた牧師さんのアホ具合は…たしかに微笑ましいっちゃ微笑ましいんですけどおかげでこんなことに…あの超カタストロフを思うと、笑ってられない…みんな即死ですよね、これまでいろんなSFで見た中でもたぶん世界最大級の災害ですね…物理的に。


> くぐり戸は、誰もが持つ理想世界への憧れ(逃避?)が共感を生むのでしょうか。
> 人生に充実し、夢中な時期は、無用の長物に映るのかもしれませんね。
> この物語を美しい、と感じている私は、つまり…あれ?

いや大丈夫!私も美しいと感じましたので、みんなやっぱり、どこか人生に虚しさを抱いてるんでしょうね、多かれ少なかれ。このおはなしは奇想天外なSF作品とかと違って、しっとりした魅力のある作品ですよね。すばらしい!


> 表題作タイムマシンを含め、深海潜航やくぐり戸など、作品として
> その後を、読み手の想像力に委ねる構成が多かったように思えます。

そうですね! この先はご想像にお任せ…っていうのがある意味一番おもしろい結末なのかもしれませんね。UFO特集番組とかも、結局謎のままである…って終わるのが一番おもしろいですし(笑) ただ深海の話のオチはあんまり…その後幸せに暮らしたように思えなかったのが、嫌な感じがしましたが……さすがに深海だからなあ…、さすがに…。


> 今回も良質な時間を得ることができました。ありがとうございます。

いえいえ、こちらこそ、いつもながら感想を語り合えるようなコメント、とても楽しく励みになります!
また遊びに来てください!

2014/12/01 (Mon) 10:38 | KMOK #WlAMjTRI | URL | 編集

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