[感想]シューマン:子供の情景/クライスレリアーナ - ヴラディーミル・ホロヴィッツ

B001FOSK4Sシューマン:子供の情景/クライスレリアーナ 他
ヴラディーミル・ホロヴィッツ
SMJ(SME)(M) 2008-11-19

by G-Tools



iTunesに取り込んだ時のタイトルは、「Schumann: Favorite Piano Works」となってました。これって、お気に入りって意味? それとも名曲集みたいな意味?

それはともかく! ホロヴィッツさんの演奏の凄さに超しびれまくってるこの頃!!
子供の情景は持ってたんだけど、やっぱりクライスレリアーナも聞かねば…ならない…と思って買いました。
とにかくすごい!!!マストなCD!





内容


トッカータ、子供の情景、クライスレリアーナ、アラベスク、花の曲。
子供の情景と花の曲は、以前買ったマスターワークスのなかに入ってたんで、持ってなかったのが、トッカータとクライスレリアーナとアラベスクでした。個人的には、これらのいずれも特別に好きだというほどでもなく、印象はあんまり良くなかったんだけども… 子供の情景や花の曲を聞いてたら、他のピアニストとあまりにも、圧倒的に、違う!!って衝撃を受けたので、あーなんだかわかりにくかったクライスレリアーナもホロヴィッツさんの演奏だったらすごいのかも…と思ったのです。で、あまそんなんかで試聴してみたら、 出だしだけでぎゃー!!!ってなったので、買いました。
音はいずれもすごく良くて、まさに名盤…ってみんなが書いてる通り、マストアイテム、ですね超マスト。選曲もいいし!


感想


トッカータ
落ち着きなくてこんがらがっててひたすら同じような高さで続いていくともすれば退屈な感じの…曲だと思ってたんです、とにかくわかりにくくて。でも、ホロヴィッツの鮮烈で透明な音だと、退屈なんてぶっ飛んでしまう。ホロヴィッツさんの演奏は妙な緊張感が、言い表しがたい、張り詰めた何かが、生命力が、生き物のリズムが。ちゃんと見ていないと、飛んでくるぞ!耳を傾けるほど、っかー!!キター!!となるリズムがある!痛快!しかもすべての音がたまらなく美しく響く! 大体一発目から、ガツーンと頭を殴られるじゃないですか。そしてこのすばらしい演奏で聞いて改めて、シューマンのおふざけな感じが満載の、かわいすぎる曲だなー!と思いました。笑顔がいっぱい。実は終わり方がすごい可愛かったことも知りました…。

子供の情景
以前も書いたんだけど、トロイメライのすごさにぎょっとしました。それがホロヴィッツさんとの真の出会いだった。この作品全体、わりと聞き流してしまってて、特にトロイメライは聞き飽きた…と思ってた曲だった。トロイメライの展開はさすがに有名だから記憶しているじゃないですか。ホロヴィッツさんの演奏は、覚えていて聴くと、特に、ショックだ…。本当に息もできないほど緊張してしまうような強弱の付け方で、どうしてこんな新鮮な演奏ができるんだろ、いや、私は演奏しないからわからないですけども、他の人がなぜこんな演奏をしていないのにこの人だけこんななんだろう。つまり天才ってこういうわけなのか! ほんとにびっくりしました、ショックでした。存在感が10倍も違う…と、思いました。
しかし子供の情景は、有名な割に散らかってて、分かりにくい感じが、私的には今でもあります。子供の情景っていうタイトルに惑わされてるのかもしれない。もっと読み解くように、このテーマにあたって想像力を働かせて聞かないとだめかも。まだ、そこまで取り組んで聞いてないのですが…。この子供の情景…というのの子供は、他人ではなくて、シューマン自身、シューマンの中の子供のことなんだと思って聞いてみるべきかな。なんか、普通に「子供の情景」と言った時、子どもたちが遊んでいる姿が思い浮かぶんだけど、そのイメージになんだかしっくりこないのかもしれない…。

クライスレリアーナ
以前からあんまり好きになれなかったクライスレリアーナ。イライラしているような感じでピリピリしていてどうもなあ。結局それがクライスレリアーナなんだけど、やっぱりホロヴィッツさんの演奏だとその尖った感情も、他人ごとでなくてこっちに向かってガラスの針のように突き刺さってくる。それも美しく。1曲めの出だしから、ええ~!?ってなる。この複雑な絡み合い、なんで他の演奏ではこういう印象を受けないんだろう。
クライスレリアーナはE.T.A.ホフマンの創作した音楽家、クライスラーの音楽のイメージなんじゃないかって何かに書いてあったけど、クライスラーがどんな音楽を書いたかは私にはあんまり想像までできないけども、とにかく思うのは、いくらクライスラーだってホロヴィッツさんのように弾くことはできないだろう!と。こんなに華麗な音で!こんなに深刻に!こんなに透明に!この低音ったらまったく痺れるしか無い…。いったいなんなんだホロヴィッツさんは。クライスラーでもなくシューマンでもなく、それ以上の存在感でこの音楽物語を操っているなんて。特に馴染みのあった終曲をじっと鑑賞してみると、ぞっとするほど闇の色が濃くて透き通ってる。一言で言うとですね、感動です……感動としか…。

アラベスク
花の曲とアラベスクは可愛い曲なんだけど、私にはどうしても無機質な感じがして、共感が起きない曲でした。ん、今思ったけど ほんとにシューマン好きなんかおまえって言うほど、この曲好きじゃないの連発ですねこの感想(笑) 実際このCDのラインナップは私の好きな曲ではないんだから仕方ない。でも、ホロヴィッツさんはあまりに圧倒的なので、ちょっとやそっとの私の好みじゃないとかそんなの上回ってしまうんだ。ホロヴィッツさんのシューマンは、個人的には激しい曲のほうが、すげええってなると思う、もちろん優しい高音も素晴らしく美しいけど、やっぱり低音がぐっとくるから、だからアラベスクはわりとあっさり聴けてしまうのだけど、終盤は はっ! ってなりますね。息ができずに窒息しそうな感じです。まるで別世界。

花の曲
前述のとおり、あんまりぴんとこなくて聞き流していた曲だったんですが、やっぱ突然気づいた。ホロヴィッツさんの演奏は鮮やかで、ただ可愛いだけじゃなくて、深刻に美しいってことに。なんだか全部同じようなこと言ってるけど、本当なんだから仕方ない。私みたいな素人耳でも、!?ってなるくらいに違うんですよ、ただ、音楽詳しくないから説明できないけどね、何がどう違うってことはさ。でも、違うんですよ。何がどう印象として違うのか、ということを考えて語ってみてもいいけど、私のこのひとりよがりで妄想的な語り口ではひたすら長くなってしかも個人的な内容過ぎてわけわからんってなるから、あとで下の方にでも書くとしよう


ホロヴィッツさんのシューマン


ホロヴィッツさんのシューマンの録音って、少ないですね…。ほんとうに素晴らしいので、ほんとうにホロヴィッツさんのシューマンがすばらしいので、もっとシューマンをたくさん録音して欲しかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおって本気で思うのですが、いやほんとに思うんです。無理だけど、希望だけ申し上げるなら、全曲録音して欲しかったよおおおお!!うおおおお…
その数少ない中で、他にもCD1枚分くらいいくつかの曲があるみたいですが、いずれもとりあえず入手しました。ほとんどはマスターワークスに入ってたんですけども。で、その中でも、グランド・ソナタがね…何度聞いても痺れる!
ある日突然、お風呂に入っている時に…、思い出したんですよ。お風呂に入っているとき、特に頭を洗っている時って、いろいろ考えているから、インスピレーションが降ってきますよね。そのとき、あっ!!! グランド・ソナタ第一楽章って、実はすごくいい!!!って思いだしたんです。その時私の頭の中にあったのは、やっぱりホロヴィッツさんの演奏だったのです。そうとは気づかなかったのだけど。誰が演奏してるかまであんまり気にしてなかったんだけど。
そんなわけで、この感想を書いてみて総合してみるとわかったことは、

シューマンはわかりにくくてピンと来ない けれど、 ホロヴィッツさんの演奏だと、あ!っとなる

ってことですね。そういうわけなので、本当にすごいと思います。特に、他の人の演奏を聞いていて、だいぶ聞いたけどわかんないなあ~と思っているそんなとき、ホロヴィッツさんの演奏を聴くとその違いに驚かされる!のだと思います。


あまそんでシューマンのCDを色々見てた時に、何人かの人が、他のCDのレビューでホロヴィッツさんと比較してて、ホロヴィッツを悪魔だとか怪物だとか激賞してたのを見てて、怪物???と思ってたんですけども、聴くと分かる気がする、たしかに悪魔のような壮絶な魅力が…魔力的な魅力があるんですね。
ホロヴィッツさんの、シューマン以外の曲の演奏も少し、入手したんだけど、ショパンを聞いても、びっくりする。今までショパンは雨のようにじっとりとして色っぽく熱っぽいと思ってたんだけど、ホロヴィッツさんのショパンは雨を引き裂く稲妻のごとく、劇的で、眩い。シューマンのピアノはショパンと違って明るい、ということは前から感じてたんだけど、ホロヴィッツさんの演奏だとショパンも充分暗くないと感じるのです。すごい!黒鍵なんて聞いたらあまりの眩さにチカチカしました。
一個一個の音が綺麗で、深くて透明で、まあ、そのへんのすごさは、私の拙い言葉で表現しなくても、みなさんがすごく見事に表現している。それ読むと確かに私もそう思う!ってなる。
じつは私、前から言ってたけど、ピアノソロってあんまり好きじゃなかったんですよね、音が暗くてジメジメしている、と思っていたから…特にショパンとか。でも、ホロヴィッツさんの音はそうじゃない。音からして凄い上に、強弱とかリズムもすごい。すなわち、最強!!最強ピアニスト!!少なくとも、私が聞いた中では、これ以上すごいと思ったピアニストはいなかった!!
もっと、ホロヴィッツさんの演奏が聞きたい! 好きな曲をホロヴィッツさんが演奏しているやつを聴いてみたいぞ!と思います。

ところで、私の少ないシューマンコレクションで幾人かのピアニストさんの演奏を聞いていて、思ったところによると、やはり女性の演奏家の方は、優しくって、オイゼビウスな感じのうっとりした曲がいいですね。
私のライブラリには、エフゲニー・キーシンさんのが結構多いんですが、キーシンさんの演奏は録音もきれいなので好きです。そして意気込んでいて、若々しくて、前のめりにかっかとしてて、とってもフロレスタン!!っておもっています(笑)

ホロヴィッツさんはオイゼビウスかフロレスタンかといえばどちらかといえばながら、フロレスタンな曲のほうが合っていると思う。でもフロレスタンよりも数百倍達人な…かんじですけどね…。いきいきとしていて、力強くて、うーん、シューマンを超えてシューマンの理想に近いというべきなのか、シューマンのしょうもない弱さを補って完成させてくれるというか。理想的!なんだな! 夢の完・全・体。 予想だにしなかった完全体。

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