[感想]SUPER VIEW - キリンジ

B008VURH7ASUPER VIEW (初回盤)
堀込高樹 キリンジ
日本コロムビア 2012-11-06

by G-Tools



なんと爽やかで優しい歌ばかり。
衝撃の原発ソング「祈れ呪うな」が入ってるし、全体的に震災を意識したのだろうというかんじがしますが、
そう思うとほんとに泣けてくるくらい優しいキリンジさんの気持ちを感じる、素敵なアルバムです。




ああやさしい


キリンジは、そんなに前からのファンというわけでもなく、ちょっとしたきっかけでレンタルで聴いて、うわさ通りの凄さに痺れたもんです。いやほんとに凄い、「キリンジ」という大胆な名前も伊達じゃない!と思う音楽ですね。
とうてい、予想通りに行かない複雑な歌詞と音楽の足取りは、インテリかつHENTAI…
インテリにファンが多い…という噂は、なるほど分かる気がする!と、思いました。

てなかんじで、ショックは受けたけど、メッチャ好きだ大好きだってほどでもなく、たまに聴いて、「効くゥ~!!」ってなるかんじだったんですけども、巷を賑わせた弟さんの脱退の話はちょっとびっくりした。
でもそれもすっかり忘れてて、ああそういえば、最近のキリンジってどんな音楽作ってるんだろ気になるなあ~と、何かのきっかけで思い出した。で、近くのTTYにレンタル探しに行ったけどなかった。なかったので仕方なく、このアルバムを借りてきた。

「祈れ呪うな」は、あまりに衝撃的で、DL購入してたんで すでに馴染み深い曲でしたが、この曲がかなり攻撃的な曲だったので、震災を受けてのアルバムがこういうカラーだったことに結構驚き、いや、驚き以上に、素晴らしい…!と思いました。

私はこのアルバム、好きだなあ、このアルバムに込められた優しい思いが。
ほんとに優しい心のアルバムです。でもキリンジらしい素直さから生えてきた優しさで、聴いていても素直に癒される。
癒やしアルバムだとか、癒やし音楽だとか、「癒してやろう!」と銘打って作られる音楽とは違う。
俺の歌を聞け~!という押し付けがましさもない(キリンジはいつもそんな感じがしますが)。
創作的なアーティストのアルバムでありながら、優しい素朴な贈り物。
天然コットン100%の手作りタオルみたいな優しさと吸水性。手作りだから、たまにちくっとするもんも入ってるかもしれないけど、合成繊維にはないほっとする色合いと肌触りです。


好きな曲とか


正直このアルバムはどの曲も聴きやすくて、やさしくて、すごくいいなと思います。とはいえきちんとキリンジらしく聴き応えもたっぷりです。9曲というボリュームも聴きやすい。このくらいが一番いいのかも。

1. 早春 (作詞/作曲:堀込高樹)
1曲めからほんとに清々しい曲で、感動します。「早春」というキーワード、季節感、概念が、ほんとうに震災を慰める風景だなあ、と、、私は聴いて思いました。早春は、まだ目覚めない冬の中だけど、花咲く春の予感を孕んでいる。つまり、哀しみの中にも希望に満ちてるんだなあ。これはその希望の季節を呼ぶ歌、美しいコーラスが。歌われる景色もまさに日本の里の風景を思わせ、人間だけでなく人間を内包する日本の自然全体を慰め励まそうとしているのだと感じました。音もほんとうに豪華ですね。 ジャケットの絵も、この曲のイメージなのかな、と思います。

2. TREKKING SONG(作詞/作曲:堀込高樹)
早春で春を呼んで、この曲はまさに春の旅立ちのようなリズム。生命の力強さを賛美するような歌詞。キリンジとしての別離を歌ってるんだとあまそんのレビュアーさんたちが書いてて、なるほどそうなのか~って思いました。確かにそう思うと最後の部分は泣けてきそうだあ(;;) しかし、私はただ二人だけのことではなくて、やはり早春からの流れで、被災地の人達、いや、傷ついた日本の人たち全体のことを歌っているとも思えるのです。

3. 荊にくちづけを(作詞/作曲:堀込泰行)
なんとなく暗そうなタイトルと違って とってもノリがよくて、明るくて、聴いていて気持ちいい曲です。1・2・3曲と 私には、目覚め・旅立ち・旅行きという風に繋がって感じられます。

4. 涙にあきたら(作詞/作曲:堀込泰行)
楽しそうな感じの曲には聞こえるんだけど、ほんとに優しい歌だなあと思いました。人間が傷ついた人を慰める術は、いろいろあるとおもうけど、ほっとくとか、一緒に悲しむとかあるけど、こういうふうに受け入れるというのも一つの究極の方法なのではないかと、私は震災を受けてこの頃思っていました。疲れを取り除く、あたたかいところへ連れて行ってあげる。

6. 今日の歌(作詞/作曲:堀込泰行)
泣き出しそうなくらいに心のこもった「肩を…」のところ、聴いてても、泣きそうになっちゃうね…。そんなふうに歌われると、たまらない。キュンと来てしまいます。

7. 祈れ呪うな(作詞/作曲:堀込高樹)
これは買いました!痛烈な原発批判ソングになっています。しかし、その仕方がさすがキリンジってかんじの…そう来たか、っていうかんじの。単なる原発批判というよりも、日本の文化に対して上からも下からも横からも突っ込んでいく、痛烈な皮肉です。ぜひとも聴いてみてください。しかし歌詞のすごさもありますが、曲のツクリもすごい、音づくりもすごい、リズムもまたひとつの皮肉になっている。これを聴くことはある意味、マゾヒスティック。作ってるキリンジもマゾヒスティック。だれより自分に皮肉を突き刺しているんだろうなって感じる。

8. バターのように(作詞/作曲:堀込高樹)
キリンジって、ボーカル二人…ということを、今まで意識して聴いてなかったせいなのか、お兄さんなのか弟さんなのか、わからない私であります。そういわれれば、違うような。でも似たような優しいかんじの声質だから…>< お兄さんのほうがよりやさしいふんわりボイスってことですかね。この曲のとろーりふんわりまったり眠れ感にぴったりですね。



B008VURH7ASUPER VIEW (初回盤)
堀込高樹 キリンジ
日本コロムビア 2012-11-06

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うう~ん、最近のキリンジも聴きたいなあ。公式サイトで「進水式」が聴けるけど、とってもいいですね。



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